「役に立たない本ほど役に立ってしまう本の読み方」と「役に立たない本を読む有用さ」

本を読み終わった後、「この本の内容を一言で表すと?」と考える習慣をつけます。
できればそれをどこかにメモしておくとさらにいいです。
そうすることで、後から本の内容を思い出しやすくなります。

「忘れる読書」という言葉があります。
本の内容は全部覚えることはできません。むしろ忘れて大丈夫です。
なぜなら、きっかけがあれば思い出せるからです。

そのきっかけとなるキーワードが、その本の「内容を一言で言ったら」なのです。

そのキーワードを思い出す、あるいはメモに残して目にすることで、連鎖的に本の内容を思い出すことができます。なぜなら結局一言で表すのは難しく、「こうこうこういうことだから、この一言なんだよ」と説明することになるからです。

そして一言でまとめることでインプットできるのが、その本を通して触れた「考え方」です。

本は知識を役立てるためではなく、考え方の引き出しを増やすために読むのだと考えた方が、最終的には役に立ちます。

役に立つという言葉には、お金になるという意味が含まれます。
資格の勉強をする、コミュニケーションの本を読む、そういうのは仕事を円滑にしたり成果を上げるたりするために読むと思われがちです。

なので例えば「テクノロジーの歴史」なんて本があっても、全然役に立ちそうにないから読まない、と言う人は多いでしょう。

しかしテクノロジーの歴史を知ると、そろばんで計算していた時代に電卓が登場した時なにが起きたか、が、Excelの時代に対話式A Iが出た現代に何が起きるかを予想するのに役立ちます。
そろばんから電卓になることで起きたのは、仕事の時短です。しかし定時は変わらないので、仕事の量が増えました。
また初期の頃は電卓が信用できない上司に、「電卓の結果をそろばんで人の手で検算して確認しろ」という指示が多くの会社で出ていたはずです。
これは電卓がExcelになっても起きています。Excelの結果があっているか電卓で人の手でチェックする。
これがおそらく対話式AIの導入でも起きます。
AIの出力した結果をExcelで検算することになるでしょう。
二度手間ですが、それでも普通にExcelだけでやるより早い、という状況にいずれなっていくでしょう。

さらに電卓の時代からExcelの時代に変わって起きたことは、足し算程度の関数しか知らなくても一応Excelが使えることになっていて仕事している人がものすごく多いということです。
対話式AIでもおそらく同じことが起きます。ほとんどの人が対話式AIを簡単なことにしか使えませんが、それで仕事は十分効率化されるのです。
Excelの関数やマクロの知識がある人が重宝されるのと同じように、対話式AIでいろんなことをできる人も重宝されるでしょう。ですがその人数は多くはありません。
そうなると、少なくともExcelで足し算ができる程度の使いこなしを今後対話式AIに対してできるようになっておけば、十分仕事はできるということになります。
対話式AIに仕事が奪われるというより、Excelのように補助的に使うことになる、という未来が見えます。

このように、テクノロジーの歴史を知っておくことで新しいテクノロジーが出た時の身の振りを考える材料にできます。
役に立たなそうな本が、役に立つ瞬間です。

本の知識自体が役に立つのではなく、考え方が役に立つのだと考えれば、どんな内容の本も役立てることができます。

だから役に立ちそうな本、ためになりそうな本だけ読もうとしないでください。興味の赴くままに、何でも読んでください。
そして読み終わったら一言で表してください。
そうして抽出し身につけた「考え方」が、いつかどこかで役に立ちます。

一方で、「役に立たない本を読むのは時間の無駄」と考える方もいるでしょう。
役に立つというのはお金になるという意味なので、どうしてもお金に結びつかない本というのは存在します。
ではそういう本を読むのは本当に時間の無駄なのか。

そんなことはありません。

読書というのは、その時間本の内容と自分に向き合うだけの特別な時間です。
特に一見役に立たない本を読む時、仕事や悩みのことを忘れることができます。

私たちは日々色々な悩みに囚われています。
将来の不安、過去の後悔、お金の不安、人間関係の悩み、仕事の不満など。

それらとまったく関係のない内容に集中することで、一時的に悩みから脳を解放することができます。
その時間に脳は回復します。すなわち、読書は癒しなのです。

なのでどんな読書も有用です。興味のある本をどんどん読んで、内容を一言でまとめてみましょう。

いただいたサポートでえっちな作品を購入し、私の小説をよりえっちにします。