書き出しは「何がどう見えるかの例」を書く。

官能小説の書き出し(=最初の一文)をどう書くか、の具体的なパターンを前回書きました。

最初の一文の「型」。

今回は少し抽象的な話をします。


書き出しは、「語り手にとって、何がどのように見えているかの例」なるべく短く書くのが、いちばんいいと思っています。


なぜなら、

・世界観(何が)
・状況(何が)
・語り手の気持ち(どう見える)
・心の状態(どう見える)
・語り手のプロフィール(何がどう見える)
・どんなお話か
・読者に与えたい印象

が一気に伝わるからです。


例えば、実際に私の作品をいくつか紹介します。

 その日の仕事帰り、僕は男に生まれたことを心の底から感謝することになった。

(「仙女の居る店」より)

・主人公は仕事をしている年齢の男である(語り手のプロフィール)

・時間帯はおそらく夜(状況)

・エッチなことが終わった後、好意的な気持ちになる(心の状態)

などが伝わります。


 目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。
 
(「朝霧檀の催恋香実験」より)

・主人公は眠っていた(状況)

・見えたものをそのまま言っている→寝起きでまだ感情がフラット(心の状態)

・自分の部屋なら使わない表現→知らない部屋にいる(状況)

・「薄暗い部屋」が物語の舞台?(世界観、状況)

・「薄暗い」と感じている→主人公に共感する読者は、やや不穏な気持ちに(読者に与えたい印象)

などが伝わります。


このように、最初の一文に情報がギュッと詰まっていると、読者の興味をひきやすくなります。

また、亜種として、最初の一文をセリフにすることで、二文目まで含めてこういうことをしてもいいと思っています。

飽きっぽい読者は長々と説明を読んでくれるわけではないので、最初の一文で「読者の興味をひく」と「お話の説明」を両方できるといいですね。


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タイトルは長くてもいいから「欲求を刺激する」こと

最初の一文の「型」。

書き出しは「何がどう見えるかの例」を書く。

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