最初の一文の「型」。

官能小説に限らず、小説のいちばん初めの文(=書き出し)は何を書いていいかわからない、と悩みやすいところです。

タイトルに続いて、読者が続きを読んでくれるかを決める重要なポイントでもあります。

私もいまだに悩むところですが、小夜夏ロニエの「官能小説のつくり方」では「ひとりでも多くの方に頭の中のエロい妄想を文章にしてもらって、官能小説を書いてみてもらう」のが目的なので、実際に私の作品で使ったパターンを紹介します。

書き出しの一文さえ書ければ、流れも決まりやすく、続きを書くのはかなり楽になります。

これらのパターンを一旦真似して使ってみて、自分の妄想を作品にする楽しさをぜひ味わってみてください。



日常からエロシーンに変わる瞬間

 目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。
 手足に違和感がある。

(「朝霧檀の催恋香実験」より)

これからエッチなことをされるぞ、という場面から書き始める方法です。

このあとは「状況を説明 → キャラが登場 → エロシーン」という流れです。



エロシーンへの期待

 その日の仕事帰り、僕は男に生まれたことを心の底から感謝することになった。
 よくいる平凡な会社員の僕は、今日は絶対に仕事を終わらせて気分良く休日に突入しようと、張り切って仕事を終わらせてきた。

(「仙女の居る店」より)

この話ではどんなエロいことが起こるかを期待させます。

このあとは「キャラの説明 → エッチな店に遭遇 → ヒロインとの出会い → エロシーン」という流れです。



ヒロインの紹介と特別な状況の説明

「おめでとうございます。貴方は当社の新型アンドロイドのモニターにご当選されました」
 玄関を開けると目の前に立っていた、メイド服で金髪の女性は笑顔でそう言った。


(「メイドロイド・ニーナに逆らえない」より)

いきなりヒロインが登場し、主人公の居る特別な状況を説明します。

このあとは「主人公の説明 → 日常の変化 → エロシーン」という流れです。


少し話はそれますが、物語は、特別な主人公を描くよりも、主人公が特別な体験をする話、と捉えた方が書きやすいです。

特別な体験とは、官能小説ではエロシーンのことを指します。

なので主人公の設定を練り込みすぎなくても、お話は成立します。



日常の変わるきっかけ

「安斎研究所?」
 見慣れない施設名が記された依頼主の名前に、僕は思わず口に出して読んでしまった。

(「安斎研究所の罠」より)

主人公の日常が変わり始めるきっかけを描きます。

このあとは「主人公の説明→日常の説明→日常にない事件→エロシーン」という流れです。



日常の説明

「ほっくんおはよ〜! いい子にしてた?」
 インターホンに応えて玄関の扉を開けると、見慣れた少女が元気良く抱きついてきた。

(「年下のガン攻め女の子が完全に愛情表現の仕方を勘違いしているが俺は……押しに……弱い……。」より)

主人公の日常を説明します。

このあとは「主人公・ヒロインの説明→日常シーン→エロにつながるきっかけ→エロシーン」という流れです。



書き出しに迷ったときはこれらのパターンを一旦真似して使ってみて、それからもっといいものが思いつけば変えてみるのもアリです。

自分の妄想を作品にする楽しさをぜひ味わってみてくださいね。


有料マガジン:小夜夏ロニエの「官能小説のつくり方」

に収録予定だった記事を、5つ無料公開しています。内容のお試しにご覧ください。

官能小説を書いてみよう。

「自分がエロいと思う〇〇」を用意しよう。

タイトルは長くてもいいから「欲求を刺激する」こと

最初の一文の「型」。

書き出しは「何がどう見えるかの例」を書く。

(この記事は全文無料公開中です。これより下に文章はありません)

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