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ベトナム人からもらったWill power

こんにちは。ヨガインストラクターの吉田紗弥です。
お盆も過ぎ少しずつ真夏の暑さがおさまっていくんじゃないかなと思っていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日もヨガのお話から入っていきたいと思います。今から約2000前に成立されたとされるヨガの根本経典「バガバットギーター」には私達の生活をより良くしていく賢者の教えが記されております。その中から一説ご紹介します。

「堅固さと気力を備え、成功不成功に動じない者は純質な行為者と言える。」

このバガバットギーターは国や宗教を超えて世界中で読まれている叙事詩になっており、戦士であるアルジュナと神様であるアルジュナの二つの会話成り立っている書物になります。
アルジュナは私達人間の象徴として描かれており、クリシュナは私たちの目の前に広がる全ての世界を表しています。

この叙事詩のテーマというのは「ダルマの遂行」というのが最大のテーマとなっております。ダルマとは、「義務」と日本語で訳されますが、「私達のやるべきこと」「やっていくこと」を指し、使命、と意味付けされています。

この一説は、純質な行為者、つまり自分のやるべきこと、使命を果たしていく者は堅固さと気力を備え、そして何より成功や失敗にこだわることなく進み続ける人だと教えてくれています。

私達は日常生活や人生の中でやりたいことは積極的に進んでやっていくかと思いますが、慣れないことや苦手なこと、気の向かないことが目の前に差し出されると、途端に気力を落として諦めてしまい、自分のまだ知らない新しく素晴らしい世界を見ることなく過ごしてしまう時があります。

けれども粘り強く、自信をもち進み続けた時私達まだ知らない大きな幸せの領域に進むことができるはずです。

例えば、大航海時代のコロンブスやマゼランはどうでしょうか。
彼らは「新大陸を発見すること」を目指して希望を捨てることなく挑戦し続けたかと思います。

時には船がひっくり返りそうになるほどどんな激しい嵐に負けそうな時もあったり、もしかすると火のような熱い太陽が照り付け、前に進めなくなりそうな日もあったかもしれません。
けれども彼らは強い意志を持ち粘り強く、必ず成し遂げてみせるという自分の力を信じ、失敗を恐れることなく進み続けたからこそ大海原を横断し、新大陸を発見したり、世界一周を達成し、歴史上に名を残すことができているのだと思います。

ですのでこのバガバットギーターの一説のように私たちは確固たる意志で失敗や成功にこだわることなく常に進み続けることがとても大事なのではないでしょうか。

私の話になるのですが、去年私は夫と一緒にベトナムの旅行にいきました。
ホイアンという小さな街の田園風景が見えるホテルを予約し、そこから1時間ほど車で行くミーソン遺跡と呼ばれる世界遺産に現地のツアーを使って行きました。
ベトナム人のツアーガイドさんが車の中で色々な歴史の話やベトナムの経済の話をしてくれたですが、ベトナムでは戦後、家の中でいた女性は男性と共に働くようになり、むしろ今では女性の方が男性よりパワフルで元気にお仕事をしているということでした。「ベトナムの男性は朝ベトナムコーヒーを飲み、昼はカラオケをし、夜はお米で作られたビールを飲んで寝る」といった具合に、女性に比べ男性はグータラしていると冗談混じりに話をしていました。

ツアーから戻り次の日、ホイアンの街をゆっくりまわろうとのことでふらっと街の市場に出かけました。
お目当てはガイドブックで載っているベトナムのティーセットです。
たくさんのお土産屋さんや食料品、食べ物屋さんが並び現地の人から観光客まで大勢の人に溢れています。そしてツアーガイドさんが言っていた通り、市場で物を売っているのは女性が多くみられました。しかしワクワクしながら市場を歩いていたのも束の間、ちょっと手に取ってみようものなら店員さんに話しかけられ、「ジャパニーズ?コリアン?」とベトナム訛りの英語で質問攻めに合い、日本人の観光客だとわかると、「Tokyo! Osaka!」と知っている日本語を並べご機嫌そうにあれもこれもと商品を買ってもらおうと近づいてくるのです。

私たち夫婦は明らかに観光客だとわかるのか、行くところ行くところピッタリと接客され、電卓を持ってきては「この値段は?」「いくらだったら買うのか?」と押しの強さに次第に疲れてき始めました。
「まだ商品を見てるだけだから」とは言ったとしてもしきりにたくさんの商品を持ってきたり帰ろうとすると腕を捕まれ、「安くするから」と強引に引き止めようとします。話す時もパーソナルスペースなく声もでかく、あまりのベトナム人女性たちの強さに圧倒され、疲れ果てその日は何も買わずにくたくたでホテルに戻ることになりました。

けれどもお土産は市場で買った方が絶対に安いと知っていたのでどうしても可愛い茶器が欲しく諦めきれずにいました。次の日も時間があったので市場の近くのカフェで夫と話しながら客引きの対策と値段交渉について考え始めました。

YouTubeで客引きから逃れる方法を見たりネットで調べたりし「絶対ぼったくられないようにする!」と強く決めいざ市場へ行くのですが、やはり女性の客引きの豪快さに圧倒され始め、いつの間にか目を合わすと買わされるかもしれないと、あまり顔を合わさないようにするなど客引きから逃れる体制になり、次第に値段交渉が面倒に感じられるようになります。


日本では値段交渉の文化もなく、店員さんは常に丁寧で、どこへ行っても押しも強くないので気軽に商品も見られるし値段は決まっているので安心してぼったくりにも合うこともなく買い物ができます。
なんなら値段交渉や市場を歩き回ることなくネットでポチっとベトナムの茶器なんかすぐ買えるのです。

一方男の人の店員さんは店の奥で昼寝をしていたり、そういう店に限って可愛い茶器が売っておらず、「もうそこまでこだわって買う必要もないかもしれない」「日本でも買えるからいいかな」とどんどん諦めの気持ちが生まれ、横の夫を見ても、疲れているのか私が茶器を探していてももうすでに店内に入ろうとせず「どっちでもいいんじゃない」といった様子です。

そしてふとあたりを見回しベトナム人の女性を見た時、ツアーガイドさんの言葉を思い出しました。「ベトナム人の女性は男性と同じように戦後の苦しい時代に強くなってきたのです」。
そうだ、私も負けてはいられない・・彼女らも真剣なんだ、私も自分の意見をはっきり伝えて、現地の人と同じように値段交渉して納得いくまで買い物しよう!と決めたのです。

そして時間をかけてマーケットを回り、目ぼしいお店を見つけ入りました。そしてやはり女性が近づいて値段交渉が始まります。大体の茶器の値段は把握していたので「いくらで買うの?」と電卓を差し出してきた時、私は値段の4分の1ほどの値段を表示しました。ベトナム人のその女性はその値段を表示されたのが初めてなのか、「は?」とびっくりした声を出しびっくりした顔つきで、その値段では絶対売れないと言い張ります。
私もそこは譲れないので「ではもうこの値段では買えません」と店を去ろうとしました。去ろうとしてもついてくる事をすでに昨日の時点で知っていたので「わかった、じゃあこれではどう?」と値段を下げてきましたが、それでも納得いかずこちらもさらに安い値段を表示し値段交渉に時間をかけました。
粘り強さと気力が必要でした。店の外では夫がめんどくさそうに私たちのやりとりを見ていました。

どのくらい時間をかけたのかわかりませんが、もうこれ以上の値段だと買えないと言い張った時、その店員さんがしょうがないと言った顔で納得してくれたのです。
「よっしゃ〜!」と勝ち誇った気分になり、最初の値段の4分の1ほどの値段で自分の欲しかった茶器を手に入れることが出来ました。しかも店員さんは優しくもお土産のマグネットをプレゼントしてくれたのです。

もし自分があの時、めんどくさいなと諦めたり、どうせ日本でも買える、ネットで買えると諦めていた時この粘り強さと気力を出すことなく可愛い茶器は安く手に入れることが出来なかったでしょう。
今もその茶器は食後のティータイムで使う大事なものとなっていて、自由が丘のおしゃれな雑貨屋さんで買ったティーポットより愛用しています。

人生も日常生活も同じことがいえると思います。私たちは目の前に自分の慣れないことや、面倒だなと思うことが差し出された時、途端に諦めそうになったり、まぁいいかと妥協したりしてしまいそうになる時があります。けれども戦後のベトナム人の女性のように粘り強く、気力に満ちて自分の力を信じながら進み続けた時、自分のまだ知らない可能性を開いていくことができるはずです。

まるでどんな激しい嵐の日も、どんな熱い太陽が照りつける日も自信を持って進み続ける冒険家のように私たちも自分に自信を持ち、失敗を恐れることなく諦めず前へ前へ進み続けることにしましょう!

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