肴のあては月　ショートショート

娘から
「火星の遊園地に行きたい」と言われたのは、昨日のことだった。
まだ空きもあるだろうと
「GWにでも行こうか」
と言ってしまったが、不味かったかもしれない。

人も住んでいる火星行きのチケットは殆ど売り切れていて、なおかつ割高になっていた。
どうしたものかと、パソコンの前で項垂れてながら、サイトを見ていると一つだけかなり空きのあるものを見つけた。
「三日月行き　乗車時間1時間」
どうやら今年のGWは三日月と被っており、あまり人気がないようだ。
値段も非満月割として、かなり安い値段になっている。
火星は無理かもしれないが、こちらなら行けるかもしれない。

「わぁ、綺麗！」
娘の見る窓の外には星々ととても地球が広がっていた。火星じゃなくて月になったと伝えた時には、少し悲しそうな顔をしていたが、笑顔になってくれてよかった。

「僕たちも楽しもう」
この日、僕は妻と久しぶりにシャンパンを飲んだ。無重力の空中に浮く炭酸の気泡が、月のクレーターと重なった。

お題　三日月ファストパス　414字

あとがき

イェーイそこそこかけたー！

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