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いってらっしゃいに添える言葉

 「いってらっしゃい、気をつけてね。今日も楽しくね。」
朝、夫と娘を送り出す時には、いつもそう声をかける。

「気をつけてね」という言葉を添えるようになったのは、2005年に起こったJR福知山線脱線事故の被害者のご遺族の方が、「朝、送り出す時に気をつけてねと声をかければ良かった」と語っていたのをテレビで見たのがきっかけだった。


 朝、家族を送り出し夕方に帰宅することを当たり前のこととして日々過ごしているけれど、それが叶わない日が、突然訪れることもあるのだ。単なる気休めかもしれない。それでも「気をつけてね」の一言を添えるようにしたいと思い、続けている。


 娘が生まれてからは「今日も楽しくね」という言葉も加わった。

松本佳奈監督の映画「マザーウォーター」の中で、もたいまさこさんが街で出会う人々に「今日も機嫌よくやりなさいよ」と声をかけるのを観て、いいなと思ったのがはじまり。

慣れない子育てに疲れ、機嫌良くやれない日々が続いていた中でこの言葉に出会い、娘だけでなく自分にも声をかける気持ちで「今日も楽しくね」と送り出すようになった。


 毎朝、気持ちよく送り出せる日ばかりではなく、気分がパッとしない日、些細なイライラを引きずってしまう日もある。それでも気持ちを切り替え、良い1日でありますように、との気持ちを込めて。
いつも家族を送り出すのだ。

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