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本当に良い宿とは〜スペインクエンカのパラドール

学生時代、友人と2人で40日間ヨーロッパバックパック旅行をした。

羽田-ヘルシンキ往復のオープンチケットとヘルシンキからヨーロッパ1都市を結ぶ空路のチケットだけを購入して、旅は始まった。

フィンランド✈️→ポルトガル→スペイン→フランス→ドイツ→スイス✈️→フィンランド
これが私たちが決めた一筆書きのコースだ。
オープンチケットには期限があるので、
決められた日までにはヘルシンキに戻らなければいけないが、
あとはどこをどう旅しようと自由だ。
6カ国を陸路列車で巡った。

6カ国のさまざまな町に2〜3泊しながら、
旅を続けた。
宿は決めていないので、
駅を出たらまず初めに宿探しをする。
部屋は空いているか?
トイレとシャワー付きだといくらか?
トイレとシャワーが共同だといくらか?
3泊するのでもう少し安くならないか?
そんな交渉をしながら部屋を見せてもらって決める。
星1つか2つの安い宿を探して、
40日間の宿泊費を節約しながらの旅だった。

でも今回の貧乏旅行で、
1ヶ所だけどうしても泊まりたい宿があった。
スペインのクエンカという街にあるパラドール。
四つ星ホテルだ。
パラドールは中世の古城をホテルとして改装した建物。
そんな所に泊まれるなんて夢のようだった。

クエンカの宙吊りの家ラス・カサス・コルガーダス
(パラドールではありません)


クエンカに着いたのは日程的にもちょうど旅の中盤。
身も心も少々バテ気味の頃だった。
当時は携帯電話はもちろんなく、
直接パラドールへ行って部屋があるか尋ねた。
運良くシーズンオフだったこともあり、
宿泊できることになった。

パラドールの家具や絵画は中世のまま

私たちはそのパラドールで、
3日間寝て寝て寝て寝て寝まくった。
部屋の掃除も断って寝ていた。
起きてくるのは朝食の時だけ。
どこにも行かずに部屋に篭りっきりの日本人の女の子を心配して、
レストランのカマレロが
「クエンカは楽しいか?」
「ホテルの居心地はいいか?」
と聞いてくれた。
きっと私たちがクエンカがつまらなくて、
どこにも行かずに部屋に篭っていると思ったらしい。

私たちは
「とても良いホテルだ。
ぐっすり眠れて心地良い。
丘の上に立つこのパラドールからのクエンカの街の景色はすばらしい!
このホテルには全て揃っている。」
とこのパラドールを絶賛した。

そしてあと2泊の延泊を申し出た時のホテルのスタッフの驚いた表情は今でも忘れられない。
もちろん延泊した2日間でクエンカの街も楽しんだ。

あれから35年経った今もこのパラドールは健在だ。
また泊まって思う存分寝てみたい。

部屋に猫が入ってきて毛繕いを始めた




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