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晩秋の歳事記

 離島でも晩秋の気配が流れてきた。
 これから一気に厳冬期に入るのが海を見ていて、わかる。
 白い波濤が子羊の群れのように押し寄せてきている。それを見ていると、ああ明日も高速船は欠航だなあと感じる。高速船は冬場はほとんど期待できない。フェリーが欠航することは滅多にないけど。その時は食料品店に駆け込まないと、日配品は一瞬で店頭から消える。
 うどん玉を4つ買うために4店舗を巡回することになる。

佐賀山中のブルークローネ


 3年前の今日はこの店にいた。
 佐賀県の背振山中のBlew Couronneです。
 このお店の鉄板料理はとにかく美味しい。
 ここは佐賀の地域おこし協力隊の、体験面接で紹介されたお店。
 受験予定の3名で招かれて地域を周回した。私はここで選に漏れたけれども、ここで過ごしていれば山中の生活で、海を恋しく想っただろうと想像する。


客間

 この時期の私には持病があった。
 人生の計画が色々と崩れ去った心痛から、睡眠障害を患っていて、2日で3時間程度しか眠れないという状態だった。
 それなのにこの日は、久々に6時間も眠れて驚いた記憶がある。
 思えば夜分に入った五右衛門風呂が良かったのかもしれない。
 木の燃える温もりがお湯に伝わっているのかもしれない。

古民家での民泊での朝食

 宿泊は背振山の丘陵地に立つ古民家で、11月初旬とはいえ山中の朝は冷え込んでいた。暖炉のある居間に降りてくると、手作りの朝食が並んでる、
 その湯気が顔にふわりと触れてくる。
 柔らかな匂いがしてくる。 
 側には暖炉で間伐材が燃えている。
 そうして森を管理しないと山が荒れてしまう。
 自然と人間の共存がその生活に溢れていると思った。

暖炉

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