見出し画像

平戸を走る 4

 昨夜からの眩暈を散らすのに苦心した。
 温泉で身体を温めても世界が渦になっている。
 仕方がないので早朝からの出立を諦めて、時間を置いた。
 視界が定まってきたのでキックで始動して、ゆるゆると続きを走り出す。
 まずは平戸オランダ商館へ向かった。
 まだ開館時間の前で職員さんがオランダ国旗を掲揚するのを見ていました。若い頃は長崎オランダ村で働いていて、そこで妻になる女性に出会ったので、この光景には既視感があります。
 17世紀の交流時代に描かれた絵と、現地に残された礎石を元に再現された商館です。

 この画角は、これぞ平戸らしいという光景です。
 石畳のスロープを登っていくと、光明寺の向こうに平戸ザビエル教会の尖塔が顔を出しています。
 この対照的な宗教が交じり合うのが、平戸であるしひいては長崎の風物詩でもあります。つまりちゃんぽんの文化圏なのですね。

 平戸でお気に入りなのは、鄙びた古色蒼然風に染め上げられた、この商店街です。この統一感というのは江戸時代からこうだったのでは思わせながら、全くの新造です。ここまで統一されるまでに、どれほどの皆さんの裏方での論争があったのか、思いやられます。
 ここでケーキ屋さんで洋梨タルトを買って、ポットの珈琲で流し込みました。朝食が眩暈で満足に食べられなかったのに、別腹はあるようです。

 何度も平戸はドライブデートに使っていたのに、この川内峠は初めて訪れました。草原が広がっていて、蛇行しながら這っていく山道をのんびりと流します。どこか阿蘇の草千里を思わせます。
 もう少し排気量をアップしたバイクで、もっと遠出をしたくなります。
 松浦資料博物館はリニューアルされていて、初見の文物が沢山ありました。また物書き視点で再見すると、様々な発見がありました。
 釘付けになった資料がありまして。
 なんと明治天皇の祖母は平戸松浦氏の11女ということです。
 往時の平戸の権勢が偲ばれます。


一泊60万円、現在は宿泊予約を停止しています。写真はHPから拝借。

 最後に唐津城を訪問しました。
 この平戸城懐柔櫓は宿泊施設です。なんと「城泊」という貴重な体験ができます。豪奢な内装と四海を見渡す寝室で、大名気分にしっぽりと浸れる施設ですし、歌舞伎鑑賞や乗馬体験や茶道体験もオプションであるようで・・・
 あとは、財布の厚さ次第です。
 一路、佐世保港へと戻ります。
 今回も実りあるツーリングでした。

この記事が参加している募集

恋愛小説が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?