マガジンのカバー画像

恋愛掌話

31
ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。
運営しているクリエイター

#note投稿企画

蠱惑の赤 2 #いやんズレてる

 ピッチが早い。  彼女の杯がすぐに空になる。  それでこちらも誘因される。  もう車を使…

百舌
3日前
15

蠱惑の赤 1 #いやんズレてる

 かつて、すれ違いも愉しみでもあった。  携帯もスマホもない時代は、女子の家に電話をかけ…

百舌
7日前
13

男爵のヴィラ 2 #いやんズレてる

 普段通りの時間が流れている。  のは内面だけだ。  閉ざされた空間で全裸で過ごしている。…

百舌
12日前
16

男爵のヴィラ 1 #いやんズレてる

 後ろ手に鍵を掛けられた。  堅牢なドアに相応しい重い音。  複数の鍵をひとつひとつ丁寧に…

百舌
13日前
14

ホワイトシチュー #いやんズレてる

 あたしさぁ、と乗ってきた。  裸の胸に彼女の髪がさらりと触れる。  その感触をなぞる様に…

百舌
2週間前
16

Showroom ♯腐れ縁だから

 アームチェアで膝を組んでいる。  イームズのシェルアームチェアで、座面は織地で肌触りが…

百舌
4週間前
17

#君に届かない

 遊歩道はひび割れていた。  炎熱と風雪の痕跡だろう。  石段に走る隙間から、新芽の息吹が顔を出していた。  冬枯れの遊歩道を歩き続けて、汗ばんできている。歩を止めると吹き下ろす北風に意地悪を感じる。  夜景で有名なスポットで、恋人たちが願掛けに来る場所だ。  むしろ夜の方が賑やかかも知れない。都心から進出して来た洒落たバーガー店もとっくに閉店して、お知らせの貼り紙も色褪せている。  展望台からは、眼下に港町が見下ろせる。  深い入り江が故郷の港町を分断し、そのどこまでが海な

優しい天秤 I 痩せたガールの日常

 今月は厳しいな。  進行表をスマホで管理している。  もう銀杏の並木道に木枯らしが駆け抜…

百舌
2か月前
16