新妻せきね

文章を書きます。イラストも描きます。 ツイッターでは毎日1枚イラストを描いています。 …

新妻せきね

文章を書きます。イラストも描きます。 ツイッターでは毎日1枚イラストを描いています。 https://twitter.com/@sawayaka_kjs

最近の記事

レタス2個分

「レタス2個分の食物繊維が入っています!」と高らかに宣言しているレタスではない食べ物が、この世界には溢れている。 いや、レタスの立場よ。 もう少しレタスの気持ちを考えてあげてもいいと思う。言い方ってあるじゃん。 ただ、レタス2個分の食物繊維が入った飲み物が存在する世界における、レタス2個の存在意義ってなんなんのか、とは思う。レタス3個で勝負していくスタイルか。 レタス2個分の食物繊維が入ったおにぎりを手に取った時の、「え、じゃあ もうレタスいらなくね?」感。 「であれ

    • 半ズボン

      半ズボンを買うのに躊躇いがあった。 ズボンを完全体と認識しているタイプの人間なので、半ズボンとは、裾が足りていないズボン、未だズボンに成らずの衣類として、正直なところだいぶ下に見ていた。 そしてこのズボン見習い、圧倒的に布面積が少ないにも関わらず、値段はおズボン様とさほど変わらないという、なかなかの根性をしていたりする。 しかも、ことお洒落半ズボンにいたっては、その生地がコーデュロイだったりするではないか。 待て待て待て。 正気か半ズボン。コーデュロイは秋冬の季語だぞ

      • ベストショット

        飛び込み選手のベストショットがわからない。 スポーツニュース等で水泳の飛び込み選手が紹介される際、飛び込み中の、あのぐるんぐるんに回転しているときの写真が使われることが多い。 ぐるんぐるんの最中なので、当然顔は遠心力で凄まじい形相になっている。 多分だけど、そこじゃないと思う。 着水までの一連の所作の美しさを競う競技なので、絶賛所作中の写真としては間違っていないのだろうが、いくらなんでもな表情が切り取られてしまっている写真をよく目にする。 女子選手とか特に、やめてあげて

        • 社会の窓際、ふみだす勇気

          失敗したっていい。 無理に自分をおおきく見せなくたっていい。 ありのままの自分で、だけど昨日の自分よりちょっとだけ前に足を進めてみよう。 その勇気は、きっと今この瞬間から始まっているはずだから。 ……という話では、全然ないです。 男子小便器の話です。 本当にね、がっかりですよね。私もです。 皆さんには是非今後も失敗を恐れず、ありのままの自分で、どうかいい感じに前に進んでいってほしいと思います。本当にありがとうございました。 ごめんなさいもうちょっとだけ聞いてくださ

        レタス2個分

          ホームベーカリーと書いて

          本気と書いてマジと読む。 魚影と書いてサブマリンと読む。 三日坊主と書いて、ホームベーカリーと読む。 ホームベーカリー。 「買った瞬間がときめきの最大値で結局すぐに使わなくなる調理器具選手権」があれば、間違いなく優勝候補の一人だと思う。 ジューサーやヨーグルトメーカーなども注目選手だろう。ゆで卵メーカーのコンディションも非常にいいと聞いている。 ホームベーカリーは、「三日坊主」であり、「挫折」ではない。 まだ挫折のステージにすら立てていない。挫折より一段低い。 近いニュア

          ホームベーカリーと書いて

          バームロールが止まらない

          バームロール。 しっとりとしたロールケーキの生地を、ちょうど良い甘さのバニラクリームでコーティングした、ブルボンのロングセラーお菓子である。 無限に食える。 かましとかでなく、しっかり真面目に無限に食える。終わりがない。 この世に生を受けた全お菓子の中で1番美味しいと、割と本気で思っている。 人類史上最大の発明は何かと問われた場合、自信を持ってバームロールだと答えたいレベルで思っている。 火や紙や車輪よりも、バームロールである。なんなら車輪要素もあるわけで、美味しいぶん

          バームロールが止まらない

          金曜マンダム、ゴンチチ貴子

          金曜ロードショーを観ると、必ず思い出すCMがある。 小学校の高学年に上がるまで、我が家におけるお子たちの就寝時間は原則21時だった。 ルール上、21時の時点で布団に入っていなければ田中アウトの厳しさである。 今の感覚ではそのスケジュールでいったいどうやって時間のやりくりをしていたのか驚愕するが、小学生ならば15時頃には学校が終わっているわけで、遊んで宿題して夕飯食べてもういっちょ遊ぶぐらいの余裕は十分あったのだろう。最高か。大人もそうするべき。 そんな新妻家だったが、唯

          金曜マンダム、ゴンチチ貴子

          報告書の角煮

          キーボードを打つのが好きだ。 いわゆるタイピング、打鍵が好きだ。 とにかくなんでもいいから打鍵がしたくて、こうして文章を書いていると言っても言い過ぎではないと思う。 打鍵中毒という言葉があるかどうかは知らないが、ほとんどもうそれに近い気がしている。 気持ちがいい。 はっきり言って快感である。 うん。もう言っちゃおう! 要はあれです。ぶっちゃけ感じている! 打鍵中、おそらく脳から何らかの興奮性物質が分泌されているのではないかと思う。じゃないとこの快感の説明がつかない。

          報告書の角煮

          おもいでは新時代

          お散歩中の保育園児たちが、Adoの「新時代」を歌っていた。 保育士さんと手を繋ぎ、「変え~て~しまえばァ~~~!!!」のファルセットまで忠実に熱唱しながら、陽だまりの中をよちよち行進していた。 新時代だ。 これぞまさに新時代の到来なり!と思った。 この令和の世にこどもたちが散歩中に歌うのは、となりのトトロの「さんぽ」とかではないのだ。 「さんぽ」にファルセットで歌い上げる箇所はない。あるとしたら「わた~しは~元気ィ~~~!!!」のところだと思う。 そういえば以前にも、

          おもいでは新時代

          散髪トークバトル

          散髪中、美容師さんと楽しく会話ができる人に憧れる。 あそこの中華屋が美味しいだとか、最近駅前にできたパン屋がいい感じだとか、地元ならではの情報交換をしながら散髪の時間を楽しめる人に、めちゃくちゃ憧れる。次に生まれ変わったらああなりたい。 私は散髪中の会話がとても苦手だ。 だって、まあまあな他人である美容師さんと一対一、しかも鏡越しという日常生活ではありえない特殊なコンディションで、なんか、その、テンパリません!? 洗髪時の「お首の位置はよろしいですか?」に対して、「はい

          散髪トークバトル

          からあげのタッパー

          屋外でからあげのタッパーを開けたときの匂いが、世界で一番好きだ。 先日、妻と近所の公園でお花見をした。 家で作ったからあげ、卵焼き、おにぎりを食べながら、ぼんやり眺める桜がきれいだった。 タッパーを開けると、鶏肉と、サラダ油と、多めの片栗粉で揚がった衣の香ばしさが、太陽とレジャーシートに包まれて、私の鼻を通り抜けていく。 私はこの匂いを嗅ぐと、まるでテレビのチャンネルが切り変わったかのように、子どもの頃の運動会の情景がノータイムで蘇る。 体操着と赤白帽子をかぶった、運動

          からあげのタッパー

          花より団子よりWBC

          母の行きつけのパン屋が中野に移転したらしく、ふたりで中野まで出掛けることにした。 今日は朝からWBCの決勝戦である。 中野に向かう電車の中でも、スマホで中継を観ている人、速報を確認している人を多く見かけた。私もツイッターで岡本のホームランを知った。よっしゃよっしゃ! 新宿で母と合流してからも、話題はWBC一色である。普段野球にまったく興味のない母も、なんと今回のWBCは観ているらしい。完全に私と同じである。 中野駅前から目当てのパン屋へ歩いて向かう。 桜並木がとてもきれい

          花より団子よりWBC

          ベランダうんこフェス中止のお知らせ

          ベランダに猛烈な量のうんこが落ちている。 どれほどの猛烈具合かというと、たとえば世の中に「うんこフェス」なる祭りが存在していたとしたら、その”祭りのあと”の光景くらい、猛烈にうんこが落ちている。 あまりに多すぎて、ベランダにうんこが落ちているのか、うんこの下にたまたまベランダがあるのか、もはや私には判断がつかない状態である。 ムクドリ。 この、うんこが先かベランダが先か問題を私に突き付けてきた、うんこフェスの主催者であり参加者である。 うんこフェスは今月に入ってから

          ベランダうんこフェス中止のお知らせ

          それでは一発回しますね。

          映画「BLUE GIANT」を観た。 よかった。めーーーちゃくちゃ、よかった。 そのままの勢いで漫画10巻を買ってしまうほどよかった。 画面から溢れ出るギラギラしたエネルギーと、主人公たちのみずみずしくも芯のある、一瞬一瞬、全力で自分の中にあるものを出し切ろうとするその姿勢に、完全にバチコンやられてしまった。そしてちょっと泣いた。 俺も…とりあえず俺も何かやらなきゃ…!という焦りと勇気を半分ずつもらえたような、とにかく躍動に満ちた映画だった。 ポップコーンを食べながら観て

          それでは一発回しますね。

          ウルトラ

          近所のホームセンターへ買い物に出かけた。 広い店内のある一画で、家庭用の物置が売られていた。ドラえもんで、のび太の家の庭に置いてあるような、いわゆる「ファミリー物置」と呼ばれるタイプのものだ。 ファミリー物置、という名称自体をそこではじめて知ったのだが、そのファミリー物置の商品名が、とてもよかった。 ダシーレ いい。好きだ。大好き。 言わずもがな、物を出し入れするから「ダシーレ」なのだろうが、なんと親しみのある、それでいて明快、且つとぼけた名前だろうか。 「お母さんあ

          卒業

          今年で35歳になる。 大人だ。 年齢的にはもう完全に大人、になってしまった。 いったい自分がいつ「大人」になったのかよくわからないし、ちゃんと「大人」をやれているのか、自信なんて全然ない。 もっと言えば、「何者」かになれた気なんて、全くしていない。 それでも、働いて、結婚して、この社会と日々やりとりをしている私は、世間から見れば、まあまあ「大人」としての恰好はしているのだと思う。 『少女は卒業しない』という映画を観た。 4人の女子高生たちの、卒業式の前日と、その当日の2