バームロールが止まらない
バームロール。
しっとりとしたロールケーキの生地を、ちょうど良い甘さのバニラクリームでコーティングした、ブルボンのロングセラーお菓子である。
無限に食える。
かましとかでなく、しっかり真面目に無限に食える。終わりがない。
この世に生を受けた全お菓子の中で1番美味しいと、割と本気で思っている。
人類史上最大の発明は何かと問われた場合、自信を持ってバームロールだと答えたいレベルで思っている。
火や紙や車輪よりも、バームロールである。なんなら車輪要素もあるわけで、美味しいぶんバームロールの方がお得だと思う。
バームロールでいっぱいになったバスタブがあったら浸かりたい。肩までしっかり浸かりたい。
2時間ぐらい長湯して10まで数えて上がりたい。
今が月曜だとして、もしも「あなたは今週末で死にます。」と宣告されたら、水曜あたりでバームロールをドカ食いすると思うし、木曜インターバルの金土で追いロールと追い追いロールもすると思う。
バームロールという名前も好きだ。かわいい。なんだバームロールって。
バームクーヘンとロールケーキを掛け合わせたのだろうか。かわいい。みんなから好かれてそう。「ムロー」の部分とか超いい。絶対にいい子。
パッケージもまたいい。
クリーム色とあずき色の、前に出過ぎない絶妙なコントラスト。
気品。これが気品ってやつか。それでいて決して驕ることなく、自然にまわりを立てる謙虚さもある。はぁ~~~(感嘆)この育ちの良さたるや。一度しっかりと御両親にお礼の気持ちを伝えたい。バームロール家の子育て本を出そう。帯の推薦文書きます。
こんなに大好きなバームロール。崇拝さえするバームロール。
しかしだからこそ、私はバームロールを食べることを、自らに禁じている。
なぜ。なぜか。
だって、一度食べたら止まらなくなってしまうから。
食べ始めたら最後、自分の意志でバームロールを辞めるということができない。そもそもそんな選択肢が、ない。バームロールぞ?
止まらない。バームロールが止まらない。
苦しくなるのは胸ではなく腹である。
何度も言うが無限に食えるのだ。限りが無い。果てがないのである。
おそらくだが、バームロールに一番近い存在は、宇宙だと思う。正確には、宇宙がバームロールに寄せてきている。宇宙側からのバームロール憧れである。
際限無く食べ続けてしまうから、食べない。
はじめから食べなければ、止まらないバームロールは存在しない。
好きすぎるが故に遠ざける。愛してるからこそ距離を置く。
バームロールのジレンマとはよく言ったもんである。
そんなわけで、私の葬式ではぜひ棺の中にバームロールをひたひたに敷き詰めて送り出してほしい。
そしてお盆になったら、バームロールの馬に乗って帰ってきたいと思う。
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