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胆嚢をとった話①術前編

胆嚢との別れまで 〜術前説明〜

腹腔鏡手術自体、盲腸を切る(虫垂摘出手術)ほどの簡単な手術であること、また、胆嚢がなくとも身体は機能するという説明を受け、納得の上手術を受けることにした。
手術を控えた1週間前、夫と共に術前説明を受ける。
(胆嚢を摘出する理由は、ひとまず割愛)

そこで、以下のような合併症についての説明がある。

  • 術後、胆汁が漏れ、黄疸が出ることがあること

  • 胆嚢摘出時に、体内へ腸内細菌が漏れた場合、敗血症を伴う恐れがあること

  • 術後、エコノミー症候群同様、血栓が飛ぶ恐れがあること

  • 動脈を傷つけてしまう恐れがあること

軽い気持ちで手術を受けるつもりだった為、急な死を覚悟するような話に戦慄を覚える。

さらに、夫(職業B)は、細かな質問を投げかけ、深掘りしていく。

Q「腹腔鏡でどうやって縫うんですか?」

(なるほど、そんな細かなところまで気にしてなかった・・・)

A「縫いません。クリップを4箇所止めて、クリップとクリップの間を切ります。」



Q「何製のクリップですか?ステンレスとかですか?」

A「チタンです。昔はステンレスも使われていましたが、今はチタンですね」

Q「なるほど。そうしたらクリップ残りますよね、外れないんですか?」

(・・・え?)

A「仰るとおりで、外れることもありますし、実際そういうケースを見ました。その時は、黄疸が出ますので、胆汁を外に出すために胆管からドレーンを繋いで鼻から胆汁を出す処置をしました。約3ヶ月ほどで自然に傷が塞がり退院しました」

(・・・絶句)



Q「そんなにかかるなら、開腹して縫った方がよかったんじゃないんですか?」

(え?そこまで突っ込む?尋問かよ・・・)

A「そうですね(苦笑)ただ、自分がその時直接対応してなかったので、その時の医師の判断でそういう処置になりました。」

Q「外れたクリップはどうなるんですか?」
A「体の中に残ります」

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Q「取り出さないんですか?」
A「体調に問題がない限りそのままです」

(?!)

Q「ちなみに頻度は?」
A「まあ、ないですね。」

(ホッ)

Q「具体的には?」
A「5年に1回くらいですかね」

(いや、結構な頻度ぉぉお!cv.東京ホテイソン)

全私「もういい!怖い!!!」

という具合に夫の尋問()のせいで、今までさほど気にしてなかった合併症について深く掘り下げられ、手術に対し、疑心暗鬼になり、虚な目をしたまま診察室を出るまで、他に夫が意気揚々と質問していたことについては、殆ど頭に入らなかった。


夫は、私を気遣って質問したわけではなく、ただ気の赴くまま、心に浮かんだ疑問を医師にぶつけて知的好奇心を埋めて、大変満足していたようだ。

私「ホゲータ(夫)のせいで怖くなったやん!」
夫「まあ大丈夫・・・・・・じゃない?」


その後も、麻酔科医にも同様に質問を浴びせ、(麻酔の種類は?それぞれの効果は?どこに効く?等)知的好奇心を大いに満たし、大変満足していた。
まるで3歳児のような夫を傍に、茫然自失のまま病院を退出し、手術までの1週間を過ごすのであった。

【続く】

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