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運用の現場に迫る!~とあるアナリストの日常を覗き見~
当社は直接販売(直販)を貫いているのでどんな社員がさわかみファンドをお届けしているのか、「比較的」皆さんにもイメージしていただきやすいのかなと思います。
一方で、運用の現場で何が行われているのかはベールに包まれているのではないでしょうか。
そこで今回は当社のとあるアナリスト(筆者)の仕事内容をご紹介して、さわかみファンドがどのように運用されているのか、その一端をお伝えしたいと思います。
アナリストってぶっちゃけ何者?
そもそも、アナリストとは一体何者でしょうか。
一言で表すと「企業を調査・分析し、さわかみファンドの価値を高めるための提言をする」のが当社のアナリストの役割です。
キーワードは「企業調査」です。
「広く・深く・遠く」調査をして、あらゆるシナリオを想定することが我々アナリストには求められます。
みなさんの大切なお金をお預かりしている以上生半可な調査は許されません。
私の仕事は情報収集から始まる
企業を分析するには情報収集、つまり事実を認識できていることが大前提です。
誤った・偏った情報や理解の上にどんなに精緻な論理を展開しても間違った結論しか導けません。そのため、継続調査している企業の新しい情報が出ていないか朝の身支度の合間や通勤中にチェックしています。
いろいろな意見があるでしょうが、個人的に新聞は情報源として優れていると思います。
ネット検索だと自分の関心が向いた情報だけを得ることになりがちですが、新聞は興味がない分野でも強制的に情報が入ってきます。
上述のとおり、情報の偏りはアナリストの仕事には大敵なので新聞は重宝しています。
さて、会社に着いてからは継続調査している企業が前日に情報開示をしていないか確認します。株式市場は9時からスタートするので、それまでに必要なら投資企業の売買判断をするファンドマネージャーと連携します。
アナリストの本分「企業調査」
情報収集が一段落したら、腰を据えて企業分析をしていきます。当社のアナリストは企業の調査・分析のレポートを執筆し、投資判断に対する意見を提案します。
ここでまず申し上げたいのは調査と分析は全く違います。情報を収集するだけの調査は投資の世界では価値がほとんどありません。
集めた情報に基づいて現在を分析し、将来を予想することで初めて価値が生まれます。将来を予想するといっても未来がどうなるかは誰にもわかりませんので、実際はあらゆるシナリオを想定します。
アナリストは想像力(推)を働かせながら、論理(論)で将来のシナリオを積み上げていくのです。
ちなみに、一番難しいのは「需要」がどうなるかを読み込むことです。
需要変化と一口に言っても「どのくらいのペースか」、「どれだけ変化するか」などと考え始めるとキリがありません。その点では一般生活者の生活に深く関与しているビジネスは比較的需要がどうなるのかを想像しやすくなります。
時には「そこまで考える!?」と思われそうな極端な状況も想定してリスク把握を行います。
(極端な状況を想定し論理を積み上げると、リスク把握にとどまらず新しい発見につながることもあります)
ここまで分析すると案外アナリスト独自のアイデアというのが生まれていたりします。
そして、その分析結果や意見をレポートにしたためるのです。
新人アナリストが恐れる運用会議
当社のアナリストはレポートを提出すれば終わりというわけにはいきません。
レポートの内容を「さわかみファンドの価値を高める」提言とするために、レポートを執筆した後チーム内でディスカッションを行います。
そしてこれが新人アナリストに恐れられる運用会議です。
なぜ、そこまで恐れられるのか。
生半可な調査・分析は「ボコボコ」にされて再提出を求められるからです。
レベルに達していないレポートで投資判断ができないからダメ出しをする、というより新人アナリストの教育の一環でもあります。
私も新人の時は何度も先輩アナリストに愛のダメ出しをされ、私の鼻っ柱は見事にへし折られました。
ある時は私が考えた予想シナリオの幅が狭く、先輩アナリストから「こういうリスクもあるのではないか」とあらゆる視点の意見をもらいました。しかし、当時は自分の考えに固執してしまい「広く・深く・遠く」発想を飛ばすことができなかったのです。
見かねた先輩は論理的に極めて冷静に私のシナリオの不十分な点を指摘し、当時の私はぐうの音も出ないほどコテンパンにされたのです。
この時は当社のアナリストに求められる将来の読み込みのレベルとバイアス(偏見)が人間の目を曇らせるということを学びました。この後も述べますが、バイアスはできるだけなくそうと今もかなり気をつけています。
では、新人アナリスト以外はどうか。
調査レポートが提出されたときは質問や対立意見をぶつけます。この場限りは、さわかみファンドの価値を高めるために皆情け容赦がありません。
(普段から部員同士仲が悪いわけではありませんのでご安心ください)
この過程を経ることでアナリスト1人では気づかない状況を洗い出し、バイアスを極力なくすのです。
とある先輩アナリストは、この過程は「刀を叩いて鍛える」のと一緒だと言っていました。
この運用会議を通すことでチームとして共通認識を持って投資先企業の投資判断ができているのです。
さいごに
ここまでざっくりではありますが、アナリストの仕事についてご紹介してきました。
紙面の都合でここでは紹介できなかった企業との面談のあれこれ等がありますが、さわかみファンドの運用の現場を少しでも感じていただければ嬉しいです。
また、今回の記事を読んで当社のアナリスト業務に興味が出たという方がいらっしゃればこれ以上の喜びはありません。ぜひ一緒に人間臭くて刺激的なさわかみファンドの運用にチャレンジしてみてください!
執筆者:井田 健二郎
運用調査部アナリスト。主に製造業を担当。
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