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短編集②

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#純文学

彼の歌と一千万の紙吹雪(小説)

彼の歌と一千万の紙吹雪(小説)

すごい光景を見てみたいな……と思っていた。すごい光景ってどんなのと言われたら困ってしまうけれど、すごい光景を見たいなと思った。

「あ……お金を入れにいかなきゃ」
 一人つぶやいて、銀行に向かう。今日は一般的に給料日と言われる日だからだろう。銀行には長蛇の列が出来ている。顔は皆どこかしら真剣味が見え隠れしている気がする。今日の給料でいろいろと支払わなければという思いがあるからだろう。私はイヤホン

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夫が豚になった(小説)

夫が豚になった(小説)

 それは夜に雨が降った日だった。朝が来ると晴れていた。夜露が朝日できらきらと光り、ベランダに置いている植物は、その雫を私に献上するように、葉をぴんと伸ばしていた。
 お味噌汁も作った、ご飯粒はきちんと立っていた。目玉焼きは黄色い部分は固かった。
自分でも珍しいと思うくらいに、ちゃんとしている日だった。
 普段は朝日の光を感じたい私は、早めに御飯を食べる。夫は仕事が遅い出勤なので、起き出すまでほっと

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