人生は「理想通り」じゃなくて「思い通り」(Vol.4)
前回は、パートナーへ抱いている「わだかまり」の奥にある自分の本音についてフォーカスしてみました。
ちょっと恥ずかしい「本音」や、思いがけない「思い込み」に気づいたとしても、なかなか行動を変えられない人も多いはず。
過去の私もその一人でした。
変わりたいと思っているのに、変われない…。
でも、ある時に気が付いたのです。
「変わりたい」と言いながら、心の奥では「変わりたくない」と思っていたことに。
夫婦関係を「変えたくない」理由を考える
夫婦関係がうまくいっていない時、私たちが願うことは、「もっと夫婦の関係が良好になってほしい」とか、「壊れかけたこの関係を再構築したい」とかと言うことですよね。
でも、改めて「なぜ私は夫婦関係を改善したいのだろう?」と考えてみるとどうでしょうか?
あるいは、理想の夫婦のイメージや目指す未来のイメージは思い描けていますか?
何のために夫婦関係を良くしたいのかという、自分の目的は明確でしょうか?
私の場合は、すぐに答えは出ませんでした。
とにかく夫婦喧嘩が大きなストレスで、ストレスを減らしたい・無くしたい・喧嘩したくない!とは思っていましたし、夫婦の関係が悪いことが自分にとって大きなストレスであることははっきりと自覚していました。
けれど、何のために夫婦関係を良くしたいのか?と考えると、その答えははっきり持っていなかったんですね。なので、答えが出ないまま、何となく、「喧嘩を減らしたいから」と考えていました。
もちろん、目的やゴールがハッキリしている方もいらっしゃることと思います。
50歳までに夫婦でセミリタイアするという目標を達成したい!
30歳までに子供が欲しい!二人目を産みたい!
子供の夢を応援するために、夫婦で協力したい!
そんな、「こうなりたい!」というありたい姿や目標を掲げているかもしれません。
あるいは、反対に「こうはなりたくない!」という強い危機感から、夫婦関係を改善したいと考える方もいらっしゃることでしょう。
このままだと子供が間違ったコミュニケーションスタイルを身に着けてしまうかもしれない…。
子どもの脳にダメージを与えてしまって一生後悔するかもしれない…。
おじいさん、おばあさんになってもパートナーの愚痴を言ったり、喧嘩が絶えない関係で暗い老後を過ごすことになるかもしれない…。
こんな具合に「このままだとマズイ」という危機感から本気モードになっているかもしれません。
でも、よく考えてみて欲しいのですが、あなたの「夫婦関係を改善したい目的」がハッキリしているのに、それが叶っていないのはなぜなのでしょう?
人生は、何を優先するかで決まります。
たとえ、
■「夫ともっと仲良く暮らしたい」
■「喧嘩で消耗するのは嫌!もっと有意義なことに時間とエネルギーを使いたい!」
■「愛情を感じられるような質の高いコミュニケーションを取りたい」
と、心から願っていたとしても、一方では、
◆「私にばっかり家事を押し付けて、大変さを分かってくれない!」
◆「子育ての大事な部分は人任せ。全然主体的に取り組んでくれない!」
◆「部屋を片付けてくれないし、使いっぱなし、やりっぱなし!」
◆「とにかく、不公平!」
そんなことばかり考えて、夫への怒りを増幅させているとしたら、どうでしょう?
アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態で、身動きが取れず、夫婦関係を良い方向に変えていくことは難しいかもしれません。
「夫婦関係を改善したい目的」や「理想のイメージ」が持てていない方も、目的や理想のイメージは持っているけれど、実はそれを上回る「ブレーキ」思考が強い方も、まず確認してほしいことは、「夫婦関係を改善する目的」ではなく、「夫婦関係を改善したくない目的」についてなのです。
大事なことなので、もう一度書きます。
私達は、実は「夫婦関係を改善したくない」と思っているし、夫と不仲でいることに自分なりの「目的」があるのです。
この、「夫婦関係を改善したくない自分なりの目的」について考えるにあたって、とても参考になるのが、『嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラーの教え」』(岸見 一郎 著,、古賀 史健著)という本です。
2013年に発売されて以来、日本だけでなく世界40以上の国や地域で売れ続けているこの本は、パートナーシップに関する本ではありませんが、本書の中で語られる「全ての悩みは人間関係」という内容から考えても、大切なパートナーとの関係改善に大いに参考になる本だと思います。
このテーマについては、別の記事で自分の体験談を書いていますので、詳しく知りたい方は以下の内容をご覧ください。
私の「夫婦関係を改善したくない目的」は大きく2つ。
1つ目が、「夫のせいで不幸。夫はそれについて責任がある」、「自分の人生がなんだか楽しくないのは、たぶん夫のせい」と思うことができる方が、自分にとって都合が良かったということ。
2つ目が、「夫をサンドバッグにすることでストレスを解消したい」ということ。決して自分が幸せになるわけではないけれど、遠慮や配慮を必要とせずに、自分の不平不満をぶつけること、そして夫の間違いを指摘するというのはある意味「楽」なことだったのです。(もちろん、時には自分がサンドバックにされるのですが…)
こんな風に自分の中にある「優先している目的」が無いかどうか、皆さんも点検してみてくださいね。
ワーク3「夫と仲良くしたくない目的って何?」
もし、あなたにとって、パートナーとの関係が悪いままの方が都合がいいことがあるとしたら、それはどんな理由からでしょうか?
あるいは、パートナーシップがうまくいっていない今の状況に、どんなメリットがありますか?あなたなりのメリットが必ずあるはずです。
私の場合は、頭ではこんなことを考えていました。
・夢や目標を応援し合える最強のパートナーになりたい!
・愛情を感じるコミュニケーションが取れる夫婦でありたい。
でも一方で、心の声(奥底にある本音)はこんな感じ。
・夫が協力的だったら、私だってやりたい仕事ができるのに!夫のせいで我慢してる。
・子育てが辛いのは夫が何もしないから。
・夫に優しい言葉をかけたり気を使うなんて面倒だし損!自分の感情をぶつけまくって、雑に扱っても良いよね。
要するに、頭で考えた「こうなって欲しいという理想」と、心が感じている「今の自分が優先したいこと」は別ものだということです。
例えば、もしあなたが「夫は口が悪くて、部屋を散らかす手に負えないダメ夫」だと思っていたとします。
そうすると、日頃から「口が悪い夫」や「部屋を散らかす夫」に注目することになるので、それに合致する夫の言動をせっせと集めてしまい、自分の中で「ダメ夫」を強化してしまうことになるのです。
幸せでは無いけれど、少なくとも「ああ、やっぱり夫って手に負えないダメ夫だよね。私が正しかったんだ」と、自分の正しさを確かめて納得することはできますね。
なので、「理想通り」では無いかもしれないけれど、「思い通り」にはなってしまっているというのが悲しいけれど現実なのです。
頭と心がバラバラな状態で、いくら頭で考えた「理想的な夫婦関係」を目指しても、心が「どうせうまくいかない夫婦関係」にフォーカスしていたら、現実は変わりません。
じゃあどうすればいいのか?
次回はそれについて解説していきますね。
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