22-23 バイエルン・ミュンヘン戦評 vsヘルタ・ベルリン 『疾風迅雷のごとき戦士たち』@Olympiastadion Berlin
◇プロローグ:良い形でW杯を迎えたいバイエルン
チームは勢いに乗ってリーグ戦3連勝、公式戦7連勝中。
ここは、中位以下のヘルタ・ベルリンを倒してウインターブレイクに突入したいところ。
救世主シュポ=モティンの活躍により、攻撃の確かな形とリズムを掴んだバイエルン。
自分たちが本来いるべき場所である首位の座を取り戻せるか。
◇ポイント・所感
12分 ジャマル=ムシアラという男がいた。
バイタルに抜け出したマネから、いささか足元に入りすぎたパスがムシアラに入る。
それをムシアラは、茶室で茶をたてるように冷静にファーストタッチ。
ここにこそ、というところに置いたボールをノンストレスでシュート!ゴール!
バイエルン先制!
なんという冷静なフィニッシュワーク!!!by下田さん
その凄さは、あの繊細な技術センスを持ち合わせておられる川勝さんが思わず「上手い!」とこぼしてしまうほど。
ロングボールが効果的に機能
ラインを高めにコースを切りながらゾーンを埋めるヘルタの守備。
それは大変強固なもので、リーグ戦で失点が少ないのも頷ける。
それに対し、ウパメカノ、キミッヒを中心にロングボールで応戦。
相手のラインを下げさせるだけでなく、カウンターのリスクも低減させていた。
24分 流れるような攻撃を見せるバイエルン
シュポ=モティンのポストプレーからアタックのスイッチオン。
前線のそれぞれが絡んでマネに展開、マネが左足で思い切りシュート。
ニアサイドへのシュートはヘルタGKクリステンセンにセーブされた。
今日の試合は、サイドバックが良いスパイスになっている。
特にマズラウィはいつも以上に積極的に攻撃に関与しているように感じた。
28分 連動したヘルタの守備
プレスにだれかが入ると、それに呼応して即座に次の選手がカバーリング。
上手くバイエルンの選択肢を限定して追加点を早い時間では許さなかった。
連動した守備は高い戦術理解とチームワークの為せる技で、
我らが日本代表もこのようなヘルタの序盤の守備のように連動して相手を潰していきたいところだ。
37分・38分 シュポ=モティン2連発
こぼれ球に反応したシュポ=モティンが2分で2ゴール!
波に乗ったストライカーは一体どこまで好調なのか。
あのレヴィのように「そこにいるから点が獲れた!」と言わんばかりに立ち位置が良い。
これは稀代のはまり役なのではないだろうか。
このゴール量産はいつまで続くのだろう。脱帽。
40分 反撃の狼煙を上げるヘルタ・ベルリン
とどめをさされたヘルタだが、バイエルン左サイドで数的有利を作ってリュ
ケバキオのゴールで1-3。
リュケバキオ何気なくボレーで合わせていたが、難易度はかなり高いゴールだった。
44分 ヘルタ・ベルリンまさかの追加点
ペナルティエリア内でゼルケのスパイクを踏んでしまったハヴァールがPK献上。
ゼルケが自らセットしてキッカーに。ホイッスルと同時に見事にシュート決めて2-3。
首都クラブの意地と粘り強さを見せる。
息の根を止めたかったバイエルンだが、前半で息を吹き返させてしまった。
こういった展開は、ここ最近のゲームでは無かったので後半が楽しみ。
後半序盤 ゲームを追うごとに存在感を高めているマズラウィ
右サイドでの起点となる持ち上がり、
ニャブリ・ムシアラとのコンビネーション、
機を見てのインナーラップなど、振る舞いが多彩になってきて攻撃のアクセントになり始めた。
ついにアヤックス産3兄弟長男の本領発揮か!
54分 名物「天国と地獄」をベルリンでも
ジャック・オッフェンバック作「天国と地獄」のようにバイエルン前線の猛者達が絶妙な距離感でもたらす協奏曲。
個々に相手の意表を突きながら縦に突き進む!
もはやベルリンの選手たちはボールを目で追うのが精一杯。
前節がNEXTレベルと表現したが、今回はその先のレベルまで見ることができた。
ナーゲルスマンの真骨頂とも言うべきか。
個人の能力を最大限に引き出しながら、強烈に戦うスタイルは異次元の完成度。
一人ひとりが相手をいなして剥がして紡いでいく攻撃の糸は確実にゴールを手繰り寄せる。
そして、蝶のように舞い蜂のように毒張りを突き刺す。
力尽きたヘルタベルリンの選手たちは、ゴールを許さざるを得なかった。
怒涛のシュートラッシュから最後はたまらずヘルタ守備陣がオウンゴール。
ところが、まさかのオフサイドVAR判定でゴール取り消し。
後半終盤 前線と中盤・最終ラインが間延びした展開
縦パスが引っ掛かり逆襲を食らう場面が散見される。
せっかくつないだボールもことごとく簡単に失ってしまう。
特に後半交代で入ったコマンについては、マネよりも怖さがなかったというのが正直なところ。
攻撃が単調なため、なかなかチャンスを拡げることができなかった。
最後は拮抗した展開ながらも前半から怒濤の攻撃を仕掛けて相手の体力を確実に消耗させていたこともあり、
同点には追い付かせずに公式戦8連勝!
総括
ヘルタは最近のバイエルン相手に最も善戦したチームではないだろうか。
意地で返した2点に加えて怖さのあるカウンターを随所に見せて、終盤は互角の戦いを演じていた。
勇気ある彼らの今後の躍進に期待したい。
バイエルンは圧倒的な攻撃力を披露した。
誰が見ても唖然とするような攻撃は、思わず解説の川勝さんが笑みをこぼすほど。
これは、バイエルンの新たな十八番アタックになるであろうし、
欧州最高峰の舞台、今後の決勝トーナメントでどこまで通用するのか。
ちなみに今夜のCL抽選会の結果、対戦相手はバブリー軍団パリ・サンジェルマンに決まった。
バイエルンの強さが本物かどうかを確かめるためには、最良の相手なのではないだろうか。
あの波状攻撃が欧州トップクラス相手に通用するのか、反撃には耐えられるのか。
パリの華やかなスター選手を前に、どこまで元祖ビッククラブの美しき意地を見せられるのか、楽しみだ。
次節は、ビックバン戦法でお馴染みのブレーメンとのホームゲームです。
それでは。
【Mia san Mia】
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