見出し画像

なぜ、いま学校に「ひとつでも多くの選択肢」が必要なのか?

皆さまこんにちは。
#SAVE OUR SCHOOL in Japan 発起人の古野です。

昨日、首相から全国39県(東京・大阪など8県の特定警戒都道府県 以外の県)で緊急事態宣言解除に関する表明が行われました。

▽NHK NEWS WEB『緊急事態宣言 39県で解除 安倍首相が表明 新型コロナウイルス』(5月14日 19時18分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012430241000.html

これから対策本部で宣言の解除が正式に決定されるとのこと。15日0時以降に、それぞれの自治体の判断で民間施設への休業要請が解除される見通しとなっています。

全国で、予定よりも早い「学校再開」の動き

6月を待たずして突然の緊急事態宣言解除の方向に舵が切られたことにより、当初の予定よりも1週間程度早めて、学校再開を目指すと宣言した自治体も出てきました。

▽中日新聞『愛知、25日に学校再開 1週間前倒し、部活は6月』(5月13日朝刊)

愛知県教委は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて臨時休校している県立高校や特別支援学校の再開を一週間前倒しして、二十五日から授業を始める方針を固めた。分散登校や短時間授業でスタートし、六月一日から部活動を含め通常授業の全面再開を目指す。県立高校では、夏休みは二十日間程度に短縮する。県教委は十三日にも、県立校に方針を伝え、小中学校を管轄する市町村教委にも同様の前倒しをするよう要請する。

▽西日本新聞『福岡県が18日から前倒しで分散登校 25日全面再開目指す
』(5月14日16:25 更新)

政府による緊急事態宣言の解除方針を受け、福岡県は14日、県立学校の分散登校を18日からに前倒しする方針を固めた。感染状況を見ながら、1週間後の25日には全面再開を目指す。市町村立学校や私立学校にも同様の対応を取るよう協力を求める。

この休校期間中、オンライン授業が十分に進んでいない学校も数多くあり、一部の保護者からは「家庭だけでは、子どもの学習をフォローしきれない」「このまま家にいると、子どものストレス面が心配。学校再開を早めてほしい」という声も挙がっていました。


突然の再開、戸惑う学校現場

こういった「緊急事態宣言解除」にともなう学校再開が急遽決定したことで安堵や喜びの声もある一方、学校関係者を中心に、戸惑いの声も多く挙がっています。

すでに学校を再開している自治体の先生からは・・・

余裕ない年間カリキュラムに対する懸念も・・・
https://twitter.com/kuma_sakurairo/status/1260933744090730499?s=20

今後、分散登校を主軸とした指導体制や授業・カリキュラム作成、学校内での感染予防策、マスクを着用した状態での熱中症対策など、検討しなければならない課題は山積みであり、そもそも「学校再開でどんな問題が予想されるのか」さえも不明瞭な状態。学校現場で十分な対策を検討・準備する時間がないまま学校再開に踏み切ってしまったことで、ますます学校現場の先生方は未曽有の事態のなかで対応を迫られることが予想されます。


高まる「できない学校」への批判、
「できる学校」への称賛

こういった状況下において、今後懸念されるのは、さまざまな対応が「できる学校」と「できない学校」の差がますます開いてしまうということです。

わかりやすい例は、オンラインツールを使用した双方向の学びやコミュニケーションです。5月16日に文部科学省が発表した『新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について 』という報告によれば、全国の公立の小・中・高・特支のなかで

・「同時双方型のオンライン指導を通じた家庭学習を実施できている学校」や「同時双方型のオンラインシステムを通じた学習支援ができている学校」はわずか5%のみ

・「個別の生徒や家庭に連絡ができる学校(電子メール・オンラインツールなど)」は20%程度。

・「職員の在宅勤務が可能な学校(*ICTを活用しない業務を含む)」は70%程度。

などの実態が明らかとなりました。

学習指導等

▽文部科学省『新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について 』(4月16日12:00)

一方で、一部の私立の学校などでは、各種オンラインツール(zoom,Microsoft teams,ロイロノート,Google classroom,Classi…)を活用した連絡やHR活動、通常授業がすでに始まっているようです。

かねてより「オンライン授業」や「オンライン部活」などの取り組みで注目を集めていたN高等学校(学校法人角川ドワンゴ学園が運営)は、そのノウハウを惜しげもなく一般向けに公開し、話題となりました

また休校延長からわずか2週間で、市立すべての小中学校での「オンライン授業」に踏み切った熊本市も、大きな注目を集めました。かねてより進めてきたICT端末の普及、公衆回線を利用できる通信環境の整備、充実した教員研修などによって、離れていても双方向型のコミュニケーションができる環境が整えられています。


このように「できる学校」の取り組みに注目が集まり、「うちの学校でも双方向の学びをやってほしい!」「どうしてうちの学校ではやってくれないの?」という声が多数寄せられました。

公立の小学校や中学校について見てみると、「いずれも、とくにはなかった(課題を渡したあと、放置に近かった)」という回答が4~5割もある。「プリントを渡して、あとはよろしく」系だ。担任の先生らから支援があっても、それは電話という昔ながらのアナログが多い(3~4割の公立小中)。Web会議や双方向性のあるオンライン授業は、2%にも満たず、非常に低調であることがわかる。
ー「宿題わたして、あとはよろしく」 休校中の学校に高まる保護者の不満、悲鳴 【休校中の宿題問題(1)】(妹尾昌俊 | 教育研究家、学校・行政向けアドバイザー 5/12(火) 18:23)

もちろん、長期的な休校が続いている状況を鑑みると、こういった声もよく分かります。しかし、インターネット上ではこのように「できる学校」の事例を称賛し、プリントや学校のお知らせなどを取り上げて「できない学校」を批判するような記事や投稿が数多く見られます。今後学校が再開される中でこういった声がますます大きくなり、地域や運営主体(公立・私立・国立)の違いによる格差がひらき、ゆくゆくは学校教育、そして公教育そのものへの不信感が高まってしまうのではないかと危惧しています。


❝ 無限テトリス状態 ❞の学校現場

さらに学校現場では、ICT環境の整備やオンライン学習のノウハウが十分に蓄積されないままに分散登校への切り替えが始まってしまったために、ほとんどの学校ではふたたび「教室での学習」や「対面でのコミュニケーション」を想定した対策に追われることになってしまいました

一部の学校では「オンライン学習」と「教室での学習」をなんとか同時進行(例えば、月曜日は1・3・5学年にはオンライン、2・4・6学年は教室など)で進めるという案もでているようですが、どう考えても現場の先生の数が足りません。

このように学校現場では、現在直面している問題を整理したり解決することができないまま、新しい課題が次から次へと振ってきてしまう、いわば❝ 無限テトリス状態 ❞が続いています。

テトリス素材

次から次へと❝新しい課題(ピース)❞が降ってくる学校現場

首相要請によって全国での臨時休校が始まった3月2日からすでに2ヵ月以上宇が経過していますが、一番下の列のピースを埋めることができないまま、上から降ってくる課題に追われている学校が、全国に数え切れないほどあります。このような状態では、文部科学省や教育委員会、地域や保護者など、さまざまな立場の人から「もっとこういうことをやって!」という要望があったとしても、それにひとつひとつ対応するのはどうしても困難になります。

「学校がえらべる選択肢」を増やし、
「学校への信頼」を全国でシェアしていく

いま#SAVE OUR SCHOOL in Japanとして実施しているのは、とにかく「学校現場の先生方を直接つなげることでさまざまな選択肢を可視化し、学校・先生ができることをひとつひとつ増やしていく」という試みです。コロナ禍でこれまでに経験したことのないことが次々に起こり、それをどう乗り越えればよいのか、誰もわからないという状況です。だからこそ、すでに起こっている・これから起こりうる無数の課題について情報を交換し合い、「学校がえらべる選択肢」を増やしていく必要があります

こういった未曽有の状況下で、即座に動いて対応ができている学校や地域もあります。こういった「信頼のためのノウハウ」を全国でシェアしていくことで、中長期的に学校という場所を守ること、そして子ども・保護者・教師など学校関係者を守ることに繋がると考えています


【参加者募集】
#SAVE OUR SCHOOLに参加してみませんか?

#SAVE OUR SCHOOL in Japanでは、小・中・高・特支の先生方が参加し、さまざまなテーマで情報交換ができるSlackのワークスペースを運営しています。

現在#SAVE OUR CHOOL in Japanのワークスペースで開設されているチャンネルです。(5月15日11時時点)今後必要に応じて、チャンネルを追加していきます。

・オンラインツール全般(zoom,Microsoft teams,Google classroom...)に関する質問(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・ネットワーク環境の整備
・オンライン学習の取り組み
・自宅学習用の教材
・教科別の情報交換(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・HR活動
・学校行事
・部活動・クラブ活動・各種大会
・学校内でのコミュニケーション(教職員同士・生徒・保護者)
・生徒の健康管理
・コロナ感染者への対応
・地域別の情報交換(今後ニーズがあれば細分化いたします)
・教育イベント情報
・関連ニュースの共有


まだスタート地点に立ったばかりの取り組みですが、興味を持ってくださった先生方は、ぜひ情報交換のためのワークスペースにご参加いただけると嬉しいです。いま抱えている疑問や不安、あなたの学校の取り組みなどをぜひ教えてください。

登録フォームはこちら! 
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSelF4R2xrwMoNqyqETF4pF6J72TkXNSR9krqcuyYGYrzslukg/viewform?usp=sf_link

また、こちらのプロジェクトに力を貸してくださる運営メンバーも随時募集しています。
✳︎ 教職員ではない方でも参加できます。
✳︎ 弊団体の運営するSlackのワークスペースの管理・対応/教職員の方向けの実態調査の実施および結果の作成/弊団体のメディアの運営・情報発信 などが主な作業となります。
*運営メンバーに参加してくださる方は、#SAVE OUR SCHOOL in Japan の事務局(saveourschoolinjapan2020@gmail.com)までご連絡下さい。(件名に「運営メンバー希望」と明記して下さい)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?