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女性の「やせ」願望(2014)

女性の「やせ」願望
Saven Satow
Dec. 24, 2014

「やせている女?そんなの、3日で飽きますって!」
東山紀之

 厚生労働省は、2014年12月9日、国民健康・栄養調査で、女性の8人に1人が「やせ」であると発表しています。13年、女性の「やせ」は12.3%を占め、これは1980年以降で最も高い比率です。ちなみに、男性の「やせ」は4.7%です。

 同月10日付の『朝日新聞』によると、同省は体重を身長で2回割る体格指数「BMI」が18.5未満を「やせ」、25以上を「肥満」と規定し、13年11月で20歳以上の男女6030人のデータを分析しています。やせの女性は20代が21.5%で最も高く、50代8.5%と年代が上がるにつれ、減少しています。ただ、60代10.3%、70代11.9%とその後は上昇傾向を示しています。

 比較のために、「肥満」にも言及しましょう。割合は男性が28.6%、女性20.3%です。トレンドは男性が増加に歯止めがかかり、女性は減少しています。

 なお、この指数を含め自然科学で一般的に用いられる単位はMKSです。重さのキログラムはkg原器を使っていますが、長さのメートルは相対論、時間の秒は量子論から基礎づけられ、特定の物質に依存していません。

 こうした「やせ」願望の原因としてやせすぎモデルがしばしば指摘されます。小枝のように細い手足のファッションモデルを目標に世の女性たちは「やせ」が現代の美であるとそれを追及しているというわけです。そのためのダイエットは彼女たちの心身の健康を害することになります。こいった状況を生み出したとやせすぎモデル偏重のファッション業界に社会から厳しい目が向けられています。

 現代では社会的責任が重視されます。ファッション業界もそれに応えなければなりませんから、やせたモデルをショーなどで使うのをやめていきます。今ではやせていないモデルがトレンドになっているほどです。

 日本は国際的潮流に贈れているという声があります。出羽の守流の批判です。しかし、実は、日本の女性のやせ願望には海外と違う特徴があるのです。

 日本の女性は自身を太っていないと認知した上で、やせようと行動しています。認知に歪みがなく、行動にそれがあります。彼女たちは自分が見えているのです。

 他方、海外の場合、まったくそうでないにもかかわらず、自身を太っていると認知して、やせようと行動します。認知から歪んでいるのです。日本女性のやせ願望の修正には他国と異なる認識が要ります。認知ではなく、行動から改めさせればよいのです。

 ここで参考になるのがNHK・Eテレで14年12月6日に放映された『エデュカチオ!』の「うちの子大丈夫? 子どもの肥満とやせ」です。現在、教育現場では女子のやせ願望が問題になっています。この時期の無理なダイエットは今だけでなく、後々にまで悪影響を及ぼします。

 同番組の要点をまとめるなら、親子でコミュニケーションを深めていくことが大切だと言うことになります。親が主導権をとりつつ、子どもがなぜそのようなダイエットをしようと思ったのかに共感を示し、健康であることを親子で協力して達成していくわけです。身近な人とのコミュニケーションの深まりが健康をもたらします。日本女性のやせ願望にはこの方法が有効です。

 もっとも、それ以上の手段があるかもしれません。同番組のレギュラーに東山紀之がいます。ジャニーズ事務所所属のスターです。彼は雑誌に載ったやせモデルの写真に対してこう断言しています。「こんなの、修正、修正。今、コンピュータでいくらでもできます」。

 現在はコンピュータによる画像の編集が自由自在で、メディアに使う写真は修正しています。モデルは実際にやせている必要はありません。画像の上でやせているように見えればいいのです。現代の美はコンピュータで編集して生み出されるというわけです。やせ願望は実在しないものを追いかけていることになります。東山紀之が女性たちに実態を話すのが「やせ」願望を改めさせる近道でしょう。
〈了〉

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