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高永 しゅん
2021年4月27日 14:50
この家に越してきた時、まだ幼い私に、祖父は言った。「この家にはな、歴史が刻まれているんだ。家族ひとりひとり、それぞれの歴史だ。これからは、お前の歴史もここに刻まれる」その意味も分からないで首を傾げる私に、祖父は笑っていた。私の目線までしゃがみ、眩しい夏の太陽を背に受けて祖父は言った。「これからはな、平和の時代が来るぞ。希望の光はあちこちで輝くし、色んなかたちの愛が広がっていくだろう
2021年4月26日 20:49
窓際に置いたテーブルと椅子は、長いあいだ陽の光を浴びてきたせいで、今はもう、昔の色を失っている。何年も前にこの家を相続したとき、手始めにまず彼女と手を加えていったのが、この部屋だった。この場所にテーブルを置こう、それぞれ好きな椅子を並べて、くつろいで過ごせる場所を創ろう、と言ったのは私だった。彼女は「素敵なアイデアね」と言ってくれたけれど、窓際だと本が日に焼けてしまうのではないかと、そ