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おじいちゃんと相撲

3月。相撲の季節である。
まぁ、相撲なんて年間通してまあまあな期間が相撲の季節なのだが、とにかく相撲の季節なのである。

近所の銭湯に行っている。健康ランドをご贔屓していたが、徒歩十分にあるという先頭の魅力にどっぷりだ。
休む椅子もないから適当な場所に洗い場の椅子を拝借して座っている。お行儀は多分良くないが、常連さんがそうやって自由な位置を陣取って座っているからセーフなんだろう。

銭湯はその場所のご当地ルールがあり、他人に迷惑をかけない範囲で整い椅子がないなどの不便を、お客さんの知恵で解消していく。これは、健康ランドとは違った良さがある。通っていくうちにドライサウナの良さにも気が付き、私の体はどんどん豊島区に埋没していく。

銭湯のサウナに着いているテレビ。大概夕方訪れるので、夕方のニュース番組を見ながら、時間を過ごす。外来生物駆除だとか、下町の大盛り店だとかあの時間のテレビ番組って独特の面白さがあるのだ。

『お兄ちゃん!相撲にしていい?』

突如声をかけられびっくりした。基本的にサウナで会話はしないからだ。
『いいですよ』と返事をするとNHKにチャンネルが移った。お客さんそのリモコンどこから持ってきたんですか。

相撲に切り替わるとおじいちゃんが2.3人入ってきた。相撲の集客力やばい。

今シーズンは追ってないので、力士の名前が分からない。国内の力士増えてきたなくらいしか情報が読み取れなかったが、取り組みを見ながら『おぉ...』『あぁ〜』というおじいちゃんの声がサウナに漏れる。

なんかいい。

そう、銭湯はこういうおじいちゃんがイキイキしてるから良いのだ。
洗い場で無駄に泡を立てながら、孫とじゃれるおじいちゃん。
ツルツルの頭を一生懸命洗うおじいちゃん。
熱い風呂に渋い顔してはいるおじいちゃん。

銭湯に来はじめてから、おじいちゃんの可愛さに気がついてしまった。

歳はとりたくない。
30代が始まり、結婚の目処や相手も立たず日々変わらずnoteを書き、仕事をし、オートミールよりオールミートがいいなとか思ったり、そんな日常を送っている。
その中でやはり、将来の不安があるがこんなおじいちゃんになりたいなと強く思う。

相撲の結果はよく分からないけど、おじいちゃん達が楽しく過ごせますように。

脱衣所で服を着て、ロビーに座りながら水分を補給していると、『あらぁぁー』とおばあちゃんが言う。
テレビではでっかいハンバーグが映し出されていた。

おばあちゃんも声に出ちゃうみたいです。
今夜はハンバーグです。

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