ピンポイント攻撃の難しさ
『亡びの国の征服者~魔王は世界を征服するようです~』を読んでいて、こんな文がありました。
「王鷲攻めってなんですか?」
「王鷲攻めっていうのは、王鷲(空を飛ぶ鳥)に乗って戦うってことだ」
「戦うのは、もちろん地面にいる敵だ」
「そうだ。敵陣のまっただ中に突っ込んで、大将首を取るんだ」
「王鷲攻めをするには四つの難があると言われている」
ルークはそう前置きして、話し始めた。
「まず、前提として大将首の居場所を見つけること。これは難に含まれない。それを踏まえて、影の難、降の難、地の難、斗の難てのがある。影の難は影武者の難だ。せっかく大将首を取ったと思っても、そいつが影武者だったら意味はない。降の難は、降下の速度だ。俺がいつもやるみたいに、安全重視でゆっくり降りていたら、途中で気づかれて大将首は逃げてしまう。王鷲の足が折れるくらいの勢いで降りる必要がある。地の難は、特定の降下地点に降りる難しさだ。大将首から遠いところに降りても意味がないからな。斗の難は、降り立ってから血路を開いて大将首に接近し、討ち取るまでの難だ。これは、乗り手としての技量は関係ない」
これについて主人公は「特攻みたいじゃん」と言っているが、「王鷲攻め」は大日本帝国海軍特別攻撃隊が行う特攻作戦よりもかなり難しそうだ。
特別攻撃作戦
まず、将軍が載っているのが一番デカい船だということ。これはすぐに見分けがつくし、特攻する人も将軍かどうかはあまり気にしないのでは(?)ないだろうか。戦場に影武者を連れてくる将軍はいないので、勘違いしにくい。
次に、特攻していく対象はどでかい戦艦、航空母艦であり、かなり的が大きい。技術がなくても、最低当たることができる手法である。そのため、窮地に立たされていた帝国海軍に特攻が有効だとされた。また、あの時代の戦争は「数打ちゃあたる戦略」である。もちろん、射撃制度も求められていたが、大砲が3つも4つも付けていた時代である。
海上自衛隊の護衛艦(イージス艦)「みらい」が第二次世界大戦にタイムスリップするアニメ『ジパング』で、みらいは第二次世界大戦中のアメリカ戦闘機と戦うが、どのアメリカ人も「みらい」の命中率をなめ切っていただけに、高い命中率にとてもとても驚いていた。作中の中でアメリカ人が「たかが1問の砲でなにができる!」と言ってなめ切っている様子が描かれている。それだけ当時は今と比べて命中精度が悪く、打ちまくることしかできなかった。
つまり、撃墜のために打っても当たらないため、それに加えて的がデカいため、特攻の命中率も高かったのだろうと考えられる。(『滅びの国の征服者』はおそらく撃墜に弓矢を使っていたのであろうから、撃墜率もこれより低いかもしれないが)
まあ、特攻侵入の仕方などはテクニックが必要であっただろうが。
結論は、「特攻作戦はそんなにピンポイント攻撃ではないよ。だから簡単で成果が上がったんだ。」ということ。
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