内緒の話(聴覚過敏)

私は、聴覚過敏なのかもしれない。

日によって感じ方は違うのだが、酷い時には隣の人のため息や独り言が気になって、仕事に集中できない。前の席の人が叩くキーボードの音さえ不快だ。なぜ、あんなに強く叩くのか?親の仇なのか?俺、早く打てるんだぜっと云うアピールなのか?そんなアピールいらないぜと思う。そして、大声で話す人。私が電話中なのに先方の声が聞こえないではないか。

ああ、憂鬱だ。仕事中に音を遮断することは難しい。

耳栓を試してみたが、私には効果がなかった。なぜなら、骨伝導があるからだ。キーボードの音ならまだ防げるかもしれない。でも、人の声となると体中に響いてくるのだ。嫌いな人の声が気になる時、耳をふさぐと体中でその人の声が響くことになる。
こんな不快なことはない。

ならば、逆に気持ちの良い音楽でも聞けばよいか。だめだ、上司の指示が聞こえなくなる。

私は、いつも体に突き刺さる音に悩まされている。

バリア。そうだバリアを作ろう。
体を包み込むバリアだ。
どんな音でも跳ね返し、耳に入らない、鋼鉄のバリアを張るのだ。

バリアを張れ!
バリアフリーではないっ!
バリアフルだ!

屈強な軍曹が私に指示を出す。

急げ!間に合わないぞ!
敵が押し寄せる前にバリアを!

バリアを張るんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!

そんな妄想をし、一日やり過ごす。
ああ、妄想癖に拍車がかかる。


でも案外、楽しいかもしれない。




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