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「発狂した宇宙」

銀河帝国、全く関係ないんで無印読書レビューです。
😅

フレドリック・ブラウン著。
1948年刊行なので、実に72年前の「多元宇宙テーマSF」の名作です。
高校生のころ読んだはずなのですが、内容はすっかり忘却の彼方。
思えば、パラレルワールドというSFテーマを初めて知ったのは、石森章太郎の「番長惑星」ででした。
そこからさらに30年近く遡ったところで既に、このテーマの世界観が確立されているところがすごいです。

SF雑誌の編集者が、月ロケットの墜落に巻き込まれて、同じようだがどこか違う世界に飛ばされます。
その世界では、宇宙旅行が当たり前になっており、エイリアンとの星間戦争も進行中で、思いを寄せていた女性はその戦争の英雄のフィアンセという高嶺の花。
クライマックスで、なぜそんな世界が存在しているのかが明かされますが、その理屈も十分納得できるものになってます。
種明かしをしてくれるメッキーという人工頭脳が、のっぺらぼうの球体という描写もセンスがいい。

しかし何より感心したのは、娯楽小説としての章立ての良さでした。
ちょうど「今日はここまで読んどくかー」というところで一章終わるので、実にサクサク読み進めました。
ここは名手ブラウンの職人技ですね。
見習いたいものです。

手元にあるのは、スタジオぬえの加藤直之さん筆によるカバーイラストが素晴らしい早川文庫版ですが、なんかプレミアが付いてるようですね。
大事にしなくっちゃ!

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