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【ショートショート】理科室まがった

 幼なじみのクラスメート、貴理子はちょっとボーっとしているが不思議な力がある。
 自分にかけられたネガティブな言葉に反応してその言葉を現実化するのだ。
 小学校では男子に「お前、頭のネジがゆるんでないか?」とからかわれた時、教室中のネジが、机や椅子、あらゆるところからゆるんで飛び出し大変なことになった。
 僕はそんな彼女が暴走しないよう気をつけながら一緒に中学まで来た。
 だが、今日また同じことが起きようとしていた。
 理科室での実験授業でミスをした彼女に、教師が「お前、行動の次元が低いんじゃないか?」と軽口を叩いたのだ。
 次の瞬間…
 理科室がまがった。
 部屋の中央から空間が大きくねじまがり、まるで大きな手にたたまれるかのような形に動いたのだ。
 生徒たちはパニックに陥った。
 僕は直感的に、理科室の次元が低く…二次元にされようとしていることに気づいた。
 貴理子の仕業だ。
 このままでは皆、二次元空間に閉じ込められ平面化してしまう。
「貴理子!やめろ!」
 僕は自分でもわけのわからない説得を試みた。
「君は次元が低くなんかない!もっと高い次元の女の子だ!次元を高くしろ!」
 次の瞬間…
 僕らは空高く舞い上がっていた。
 そこからは、世界中のあらゆるものが過去や未来といった時間の束縛を超えて見えた。そして、聞こえた。
 僕らは四次元かさらに高次元の世界に来てしまったのだ。
「何やってんの!あんた!」
 誰かの声が響いた。
 見ると、理科教師が妻と思しき女性に責められている過去か未来の姿があった。
「だからあんたは次元が低いって言うのよ!」
 貴理子が久しぶりに笑った。


また派手に字数オーバーしました。
675文字です…
😭
うまく、文字数の次元を低くする方法ありませんかねえ…

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