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【SFショートショート】侵略の季節 またはほんの一部スイカ

 時は来た。
 ひときわ暑い夏が。
 とある惑星侵略のために身を潜めていたクマート星人は、高温多湿下で活発に活動する。
 彼らが、その恐るべき科学力で造った宇宙艦隊を目覚めさせる時が来たのだ。
「発進!」
 クマート星人の球形宇宙戦艦群が、ついに砂を割って姿を現した。
 惑星の原住民たちが一斉に走り出す。
 が…
 彼らは逃げるのではなく、艦隊に向かって来た。
 しかも、その姿は恐ろしく巨大だった。
 原住民たちは嬌声とともに、手に持った棍棒を宇宙艦隊に振り下ろしてきた。
 スピーカーから原住民の声が響く。
「さあ、どの組が一番たくさん割れるかなー?」
 地元の幼稚園児たちが、砂浜に置かれたスイカを割って楽しむ、恒例のスイカ割り祭りの始まりだった。
 黒と緑の縞模様が描かれた球形宇宙戦艦の表面は、まわりに置かれたスイカと見分けがつかない。
 ほんの一部スイカと同じだっただけで、巨大な幼児たちの見境いのない暴力は艦隊に襲いかかった。

 勇猛をもって銀河に知られたクマート星人の侵略艦隊は、およそ10分で壊滅した。


たはらかにさんの募集企画「#毎週ショートショートnote」応募作品です。
お題は「ほんの一部スイカ」。
実は、いろいろアイデアは出たのですが、一番くだらなくて短く終わるものを書いてしまいました。
ちなみに、日本一の出荷量を誇るスイカの産地はクマート星ならぬ熊本県だそうです。
スイカ食べたい。
☺️

さて、例によって宣伝です。
noteさんで開催中の「創作大賞2023」に、長編SF小説「銀河皇帝のいない八月」で応募中です。
応援期間終了の7月24日まであとわずか。
ちょっとだけ読んで「ダメだこりゃ」という感想でもいいのでください。
あ、いや、やっぱりもちょっといい感想があったらください。
😓
よろしくお願いします!

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