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【長編SF小説】銀河皇帝のいない八月

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宇宙を支配する銀河帝国が地球に襲来。 軍団を率いる銀河皇帝は堅固なシールドに守られていたが、何故か弓道部員の女子高生、遠藤アサトが放った一本の矢により射殺されてしまう。 しかも〈…
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2021年11月の記事一覧

銀河皇帝のいない八月 ⑪

銀河皇帝のいない八月 ⑪

2. 爆心地の浜辺

 東京が消滅して一週間が経った。

 破滅的な〈白い嵐〉によって首都とともに政府を失った日本の政治家たちは、県知事連を中心に連絡網を構築し、国体の維持になんとか動き出していた。
 そして、大阪に置かれた暫定政府によって、状況を把握するために自衛隊が派遣され、東京が半径数十キロに渡って広がる砂漠に近い荒野と化したことがわかった。その中心域は「爆心地」と呼ばれ、大きく広がった東京

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銀河皇帝のいない八月 ⑫

銀河皇帝のいない八月 ⑫

4. 〈青砂〉の少女

 日本政府の立ち入り禁止令を無視して爆心地に入ったCNNの取材チームは、数人の行方不明者を出して命からがら帰還した。

 その取材行為自体も問題視されたが、彼らが持ち帰った映像の中身は、そんな瑣末ごとをどうでもよく見せるに十分な内容だった。
 遠藤空里という女子高生とその異様な取り巻き……〈星百合〉による超空間ゲートウェイ網と銀河帝国の存在……さらに、一介の女子高生である空

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銀河皇帝のいない八月 ⑬

銀河皇帝のいない八月 ⑬

5. 旅立ち

「じゃあ、始めるわね」

 半壊した部室棟の屋上でケイト・ティプトリーは言った。
 右手に持った小さなジンバルスティック付きのカメラに向かって英語で何か喋り出す。いつか、その映像を見るであろう視聴者たちに、これから起こることを説明しているのだ。

 ティプトリーはポケットに忍ばせていたそのカメラで、空里と僕たちの取材を続けていた。彼女自身、まだ彼らの話に対する疑いを払拭しきれないま

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銀河皇帝のいない八月 ⑭

銀河皇帝のいない八月 ⑭

6. 星百合

「オーマイ……オーマイ……」

 空里のシートにしがみつきながら、ケイト・ティプトリーはうわ言のようにつぶやき続けた。まさか、本当の宇宙旅行になると思っていなかった彼女は、目の前の現実と、今まで空里たちから聞いた話のすべてがウソではないのだという現実の両方に押しつぶされそうな思いでいた。
 度を失いかけていたのは空里も同じだったが、すでにネープとの大冒険を経験していたことで、まだ冷

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