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【長編SF小説】銀河皇帝のいない八月

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宇宙を支配する銀河帝国が地球に襲来。 軍団を率いる銀河皇帝は堅固なシールドに守られていたが、何故か弓道部員の女子高生、遠藤アサトが放った一本の矢により射殺されてしまう。 しかも〈…
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2021年10月の記事一覧

銀河皇帝のいない八月 ⑧

銀河皇帝のいない八月 ⑧

11. ジアレギ将軍の挑戦

 シェンガは呆れこそしたが、反対はしなかった。
 他に手がないのは確かだし、完全人間が「やる」と言ったらやるのだ。

 ネープはゴンドロウワに命令した。
「お前はミン・ガンと協力して、船を守れ。私が戻って再度命令するまでミン・ガンの指示にだけ従い、他の者の命令には従うな」
「これでこのデカブツは完全に味方だ。どれだけの役に立つかは知らんが……」
 戦闘種族の本性を出し

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銀河皇帝のいない八月 ⑨

銀河皇帝のいない八月 ⑨

12. 約束

 半壊した部室棟の屋上に、二つの影が立っている……

 空里とシェンガは、夕日と自分たちの間に広がった、奇妙な景色を飽くことなく眺めていた。

 戦闘中に移動していた惑星改造船は、消滅した東京の西側に落下し、スター・コルベットとシールドに守られた部室棟の一部は墜落の被害をまぬがれていた。
 完全な荒野と化した地上には、巨大な構造物や船体の残骸が突き立ち、金属製の神々が眠る墓場か、発

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銀河皇帝のいない八月 ⑩

銀河皇帝のいない八月 ⑩

第二章

1. レディ・ユリイラ

身長二メートル。女性である。

 漆黒のローブをなびかせ、謁見ホールに続く廊下を歩む細身の姿は、優雅さと同時にとてつもない危険も感じさせた。ローブの下から見え隠れする、レザースーツの赤いラインが、浮き出した血管のようにも、獲物の返り血の流れたあとにも見えるのだ。
 長い黒髪。透き通るような白磁の肌。鼻筋、口元、頬から顎にかけての線は、銀河系文明に属する多くの種族

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