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発酵と保存食

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#発酵

東西発酵文化の融合〜マッサでかんずり〜

コロナ前は、民族の食卓を訪ねる"ならいごとの旅"をテーマに、雲南や福建、台湾へ手仕事を習う旅の同行者を募ってきました。 コロナ後は旅ができなくなってしまったので、100年の古民家(180坪の庭つき)に閉じこもり、世界の発酵文化の食卓へのアレンジを楽しみつつ、そんな暮らしをシェアする体験型の民泊を営んでいます。 パプリカの発酵食品"マッサ・デ・ピメンタオン"ニュースレター"Asian Foodlore Magazine"の7月号でも書いたのですが、パプリカは、唐辛子がハンガ

発酵の5日間〜菌たちとともに過ごす時間〜@奈良

ご好評いただきました、井口和泉先生の『発酵の3,5,7日間』を2年ぶりに奈良にて開催します。今回は「発酵の5日間」として、レシピも内容もパワーアップして盛りだくさんでお届けします。 『発酵の3,5,7日間』では、 体験することを一番、大切にしています。 差し替えを作らず、いちから発酵食品を仕込み、 酵母を起こし、育っていく菌たちの音を聞きながら、 ともにつちかい、暮らしの中で活かしていくための 実践的な学びの場です。 発酵食品は、微生物が、作るもの。 目で見て、香りを嗅ぎ

暮らしの実験室2:台湾の発酵食品「梅乾菜」づくり

台湾に「梅乾菜」という菜っ葉のお漬物があります。これは、塩漬けしたアブラナ科の葉を干したもので、乳酸発酵の酸味があり、「都こんぶ」の匂いが漂うというと想像がつきますでしょうか。 奈良の在来野菜「大和まな」で仕込んでみましたが、客家の人たちは、これ専用に自家採種していて、2−3倍くらい長いんですよね。 客家(はっか)とは?多民族の島台湾には、「本省人」と呼ばれる日本統治時代以前(16世紀くらい)から台湾に移り住んだ渡来人と、戦後、国共内戦で破れた国民党に伴って移り住んだ「外

暮らしの実験室:たけのこと発酵と菌の生態系

たけのこ掘りが今年は大量だったので、羽釜2台フル稼働しながら、民泊のシーツ洗って干して、庭掃除しながら薪炊いて、タケノコ切って、テーブルセットして・・・。大変でしたがようやく落ち着きました。 タケノコの塩分濃度を変えて味と保存期間の実験をしています。 無塩、5%、8%、10%、20%・・・ 中国語で論文検索すると、塩分濃度と乳酸菌などの菌の生態系と風味に関する論文がたくさんヒットします。さすがの発酵国。塩分濃度高すぎると、逆に生態系が崩れて腐敗しやすいデータもあったりし

中東のクリームチーズ「Labneh」のチョコチーズマフィン

中東の「Labneh」は、ギリシャヨーグルト、ヨーグルトチーズとも呼ばれるクリーミーなヨーグルト。「水切りヨーグルト」を作る要領で、コーヒーフィルターで越して塩を加えて固めると、自家製サワークリームができあがります。 ソースとしてつかったり、2−3日冷蔵庫で脱水してチーズとして楽しむのもいいですし、こんな風に、ボール状にしてオリーブオイルで保存するチーズの保存食もあります。 レバノンのラブネボール 中東のヨーグルトチーズLabnehの作り方ヨーグルト 200g 塩 少々

雪に舞う唐辛子の発酵調味料「かんずり」

日本では珍しい、唐辛子の発酵食 唐辛子を発酵させる食品には、タバスコや、辣椒醤などがあります。日本では唐辛子を保存する文化といえば、沖縄のコーレーグスですが、和食にそれほど唐辛子を用いないことから(七味唐辛子くらい?)、唐辛子を保存する文化はそれほど根付いてきませんでした。(ちなみに韓国のキムチ博物館によると、唐辛子を持ち込んだのは豊臣秀吉らしいですが!) そんな中、新潟県の「かんずり」は、下漬けの塩漬けと、麹による本漬けという世界でも珍しい二段階発酵で作られています。

発酵あんこで「紅豆奶茶(小豆ミルクティー)」

台湾の飲み物というとタピオカが流行りましたが、まあ、それなりに好きではありましたが、それ以上にお気に入りで、台湾に行くと必ず一度は注文するのが「紅豆奶茶(ホントウナイチャー)」。 ミルクティーに小豆が入っている飲み物なのですが、おしることミルクティーが合わさったような感じでしょうか。紅茶に砂糖の代わりに小豆が入っているんですよね。砂糖よりも風味が豊かになります。 最近、「発酵あんこ」が流行っていますが、発酵あずきでミルクティーを作ってみました。発酵紅豆奶茶です。

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ひよこ豆のテンペを使ったアレンジ料理帳

マレーシアのインスタ仲間と時々情報交換しているのですが、東南アジアの発酵文化が面白い。テンペを使った豆腐よう、まさに「テンペよう」や、テンペの干し肉もどきなど、その発想には驚かされます。テンペはマクロビでもよく使うのですが、東南アジアのテンペ料理はとても参考になってます。 私のバイブル「The book of Tempeh」 テンペは大豆だけでなく、いろんな豆でつくれるのですが、面白いのは、油を圧搾したあとのピーナツやココナツの残渣をつかったり、豆腐を作った後の「おから」で

塩漬けイワシのトマト煮込み

世界のスープ里山文庫の蔵書は、世界の食の本をメインに収集していますが、今年新たに仕入れた本の中で、一番の衝撃を受けたのがこの本。 佐藤政人「世界のスープ図鑑 独自の組み合わせが楽しいご当地レシピ 317」 パン酵母を起こすサワードーで酸味のあるスープに仕上げたり、ウサギやリスの肉を使ったり、トルティーヤ生地でとろみをつけたり、ワインと柑橘の煮込みや、テキーラ煮など、不思議な食材の使い方が独特の世界観に引き込みます。 よく300以上も聞いたこともない国のレシピまで集められ

紅油腐乳作りとアレンジレシピ(オンライン講座)

豆腐ようのルーツともなった腐乳はヴィーガンチーズとも呼ばれ、お粥やご飯につけて食べたり、調味料としても使われています。 腐乳には実にいろんな種類がありますが、酒に漬けたものはどうもアルコール臭くて、という人には油漬けがとってもオススメ! 雲南の民俗の食卓を訪ねる旅で、山岳民族の村を歩き、バイ族のおばあちゃんたちに習ってきました。豆腐をカビで発酵させた毛豆腐を作るにはハードルがありますが、今回一緒にやるのは、誰にでも気軽に作れる簡易バージョンのレシピです。 ボルネオからブー

いまどきのチャイナ(3)オーガニックマーケットで発酵ワークショップ

茶飲み仲間がオーガニックマーケットで働いているというので見に行って来ました。 2010年に始まったオーガニックマーケットは、今や生産者約50名になり、開催数は500回を超え、利用者は年間約80万人だとか。北京市内では、曜日ごとに3箇所あり、いろんなワークショップやトークイベントが行われているようです。 さっそく、発酵グループに入れてもらいました。納豆や、豆腐ようなどなど、農家さんの野菜を使ったいろんな講座がマーケットで受けられるのです。 今日は、泡菜を作ったり、コンブチャ

130年続く笠間藍染:新月の藍建てを訪ねる

以前、旅色プラスの連載で書かせてもらった笠間藍染の工房で藍建てを見学してきました。 こちらの工房は、少なくとも130年前から土間で藍を育てているという。4つの藍壺がワンセットになっていて、寒い時は中央の穴から籾殻を焚いてツボを常に温める。絶やすことなく続けて来た色だ。 そして、藍建をやるのは、昔から必ず新月の日と決まっている。最近では藍染の受注も減り、3−4ヶ月に一度、藍がなくなってきたら次をつくるのだそう。 こちらが徳島の蒅師、佐藤家から仕入れているという蒅。 初め

客家の保存食とオレンジソースの作り方

時々訪ねている台湾でのならいごとの旅で出会った食べ物のことを書いていきたいと思います。 (1)客家金桔醬 「金桔」「甜桔」「砂糖桔」ともよばれる柑橘で作った客家特製ソース。塩と唐辛子を加えるので、甘辛くて酸っぱい。エビチリソースに似た感じです。黒豆醤油と混ぜて、水餃子や蒸した鶏肉につけて食べると美味しい。 (2)梅干菜 梅干しではなく、白菜やからし菜など、アブラナ科の菜っ葉類のお漬物のこと。なんというか、「都こんぶ」の匂いが漂います。 漬物の多様性の違いはこちらのサ

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薬草ミード(蜂蜜酒)の作り方 DIY how to make herbal mead

キハダの実と和のハーブ、スパイスでミード(蜂蜜酒)を作りました。 ミードは、農耕が始まる前から飲まれてきた人類最古の酔う飲み物として知られています。フルーツの酸味と植物のタンニンの渋み、はちみつの甘みが加わった夏にオススメのドリンクです。中世ヨーロッパではハネムーンに新婦が精力をつけるために作って飲んだそうです。