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価値の循環を農から感じる。

里山百手プロジェクト、第六回のテーマは「価値の循環を農から感じる」。
一見すると不要なゴミに思えてしまうものも、循環する価値の一部である。それは価値の循環を俯瞰してみることでわかります。
また、不要なものだと思えるものも、見方の角度を変えると価値が見つかることもある。農を通して、視点の多角化の有用性と、循環する価値のつながりを感じてもらうのが今回の狙いです。

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久しぶりに教室を出て、畑での授業です。今回は南摩小学校の三年生、上南摩小学校の三,四年生も参加してくれました。
ゲスト講師に、南摩地区内で花とお米を育てている小久保真臣さんと、鹿沼市堆肥化センターの渡辺稔近所長をお招きしてお話を頂きました。

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はじめに小久保さんから。持っているのはご自身で育てた稲。
「稲の要素の中でみんなが食べる部分は、籾。籾の要素の中で食べるのは、籾の中の米粒。それも、外側を削って中の白い部分だけ。つまり、実際にみんなの口に入るのは稲の中のほんの一部です。
では、それ以外の部分には価値がない=“ゴミ“なのか?
答えはもちろん“NO”です。藁は牛の餌やベッドになり、籾殻は堆肥の基材に、米糠は発酵のスターターになる。『食べる』という視点から稲を見ると、多くの人にとって価値を持つのは米の白い部分だけですが、このように他の視点から見ると様々な価値が発見できます。」
これを稲以外に当てはめてみるとどんな例があるでしょう。
例えば、部活動。大会で勝つことだけが部活の価値ではないですよね。仲間づくり、体力づくり、思い出づくり…他にも部活を見つめるたくさんの視点、そこから見つかる価値があります。視点の多角化は価値の厚みを露わにする。厚みをもった価値はもうゴミになることはありません。
実際に、小久保さんは育てた稲の藁を近所の酪農家さんに牛の餌として提供し、それを牛が食べて糞になり、その糞を肥料として田畑に施肥しているそうです。厚みを見出された価値は流れ、廻り、また新たな価値を生み続けます。

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続いて、鹿沼市堆肥化センターの渡辺稔近所長から。
「堆肥化センターでは、家畜の糞尿、木工所から出るおが屑、農業生産法人から出る籾殻、街路樹を剪定した際に出る枝葉など、市内で営まれる様々な事業の副産物を集め、微生物の力で発酵させて堆肥をつくっています。
これらは堆肥化センターがなければほとんどゴミとして処理されるものたちでしょう。その瞬間だけを見ればゴミ。でもそれを堆肥にすることで、ゴミになるはずだったもので野菜が育つんです。」
ゴミに見える状態は、次へと移り変わる変化の途中の状態であると捉えることも出来ます。その瞬間のソレだけを見るのではなく、前後のつながりを捉える。その先も想像する。想像した先の前と後ろがどこかでつながって、大きな循環の輪になる。
藁⇨牛が食べる⇨糞をする⇨堆肥⇨稲⇨藁
つながりました。輪です。
野菜⇨料理⇨人が食べてエネルギーになる⇨木工所で人が働く⇨おが屑⇨堆肥⇨野菜
ここにも。輪です。
つながった輪を廻らせ続けられれば、不要なものなんて出てきません。
気持ちよく廻り流れる輪を見つけましょう。
興味を持つ⇨好きになる⇨夢中でやる⇨上手くなる⇨世界が広がる⇨次の何かに出会う⇨興味を持つ
こんな輪は最高ですね。

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では、お話の後は作業開始。実際に堆肥化センターでつくっている堆肥「ほっこりー」を畑に撒いて、3週間後に行う予定の玉ねぎの定植へ向けて土づくりをしていきます。

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小中学生、大人が混ざってワイワイ楽しく作業。すると雨が。。。
残念。予定より早めに作業終了しました。
授業内で終えられなかった分は、後日、里山百手プロジェクトの母体である「なんま夢やさいプロジェクト」のメンバーで行っておきます。
次にみんなで畑に来る時は晴れますように!

里山百手プロジェクト 第六回
講師 堆肥化センター 渡辺稔近所長 / 小久保真臣 / 福田大樹

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