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つまり、佐藤の本棚。

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今まで読んできた本にまつわる「記憶」の記録です。
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#夏目漱石

【完全版】夏目漱石「こころ」あらすじ解説

はじめてちゃんと読んだ「漱石作品」が「こころ」という人も多いのではないでしょうか? 何度読み返しても「こころ」の奥が揺さぶられる、名作文学作品ですよね。 今回は「こころ」のあらすじを【完全版】と称して、じっくりと解説してみました。録音を始めてみると想像以上に熱がはいってしまい、一時間を越える長さとなってしまいました。編集して48分にまとめたのですが、それでも一度に視聴するのは大変かと思いますので、前後編の2つに分割してお届けします。 前編は「上 先生と私」「中 両親と私」

はじめての「夏目漱石」おすすめの3作品【坊っちゃん・こころ・三四郎】を解説

自宅で過ごす時間が長くなっています。せっかくなので読書を楽しんでみませんか? 今回は「はじめて夏目漱石を読む」なら、この作品というテーマで「坊っちゃん」「こころ」「三四郎」の3作品を解説してみました。 夏目漱石、とか、日本文学、と聞くと「難しそう」と感じる人も少なくないと思います。しかし、一度その作品世界に足を踏み込むと、想像以上にひきこまれていく自分に気がつくはずです。 学生時代を振り返って文学の世界に浸ってみたい人も、お子さんに「漱石の坊っちゃんはいいぞ。まずはこれを

「本の題名」の考え方 【夏目漱石の場合】

以前、別の記事でも解説しましたが、夏目漱石作品の「題名」はシンプルで記憶にのこります。さぞ、念入りに熟考して決めるのだろう・・・と、思いきや実は「かなり適当」につけているものも少なくないようです。 今回は、個人的に気になった「2作品」を紹介してみたいと思います。 ・彼岸過迄「彼岸過迄」という題名は、その名が表す通り「彼岸過ぎまで、連載するつもりだから」が理由とのこと。内容に関係なく「執筆の日程」で決めてしまったのですね。「それって適当すぎやしませんか? ・・・いや、でも『

夏目漱石 前期三部作「三四郎 それから 門」あらすじ解説

夏目漱石の前期三部作「三四郎 それから 門」のあらすじを、動画で解説しました。しかしながら、一本10分前後の内容のため、すべて閲覧すると30分以上のボリュームとなっています。 制作者としましては「三四郎」から順番に閲覧していただきたいのですが「30分も見ていられない」という方は最後の「門」の冒頭を見ていただくと、なんとなく全体像がわかるようになっているので「ざっくりでOK」という方は「門」の動画をご覧ください。 ※いうまでもありませんが「あらすじ」なので、いわゆるネタバレ

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古本をめぐる冒険「吾輩は猫である 夏目漱石」

多くの日本人が知っている小説のひとつといえば「我輩は猫である」であろう。書き出しの「我輩は猫である。名前はまだ無い。」も、空で言える人も多いと思う。そんなにも著名な作品であるにも関わらず「読んだことがない」「あらすじさえ、わからない」という人も多いのではないだろうか。 いや、別に責めているわけでも上から眺めているわけでもない。このようなことを書いている私自身「我輩は猫である」を完読できたのは、社会人になってからだった。それまでに何度も挑戦しては、途中で挫折してしまっていた。

【文学テスト】第一回「夏目漱石」作品名(β版)

noteに、Googleフォームが設置できるようになったので、試みに漱石の作品名テストを作ってみました。全15問。よろしければお試し下さい。 Googleフォームでテストを作ったのは初めてなので、不具合やリクエスト等あればお寄せください。 「送信」クリック後、白い画面が表示される場合は、上にスクロールすると答え合わせのページに進めます。 参考

古本を巡る冒険 夏目漱石「切抜帖より」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は夏目漱石「切抜帖より(復刻版)」です。ご覧の通り、とてもシンプルな装丁です。上品な佇まいで、それだけでも魅力を感じますが、今回特筆したいのはこのサイズ。 大きさを表すために、近くにあったマッキー(極細)を置いてみました。おおむねイメージしていただけたでしょうか? 片手で持ちやすそうなコンパクトなサイズをしていますね。角の丸みも絶妙です。 実際に持ってみました。やはり片手で開く時にちょうどよいサイズです。表紙も厚みがあるので

読書の記憶 六十八冊目「漱石先生臨終記 内田百間」

前回、私が進学塾の先生をしていた、ということを書いた。書き終えてから、あらためてその当時のことを思い返してみると、授業していた時の事よりも生徒と雑談をしていた記憶の方が多いことに気がついた。 授業が終わると、たいてい何名かの生徒が私の机の横に来て何やかやと話をしていった。わからないところを質問に来る生徒もいないわけではなかったけれども、ほとんどの生徒が意味のないような雑談をして帰っていくのだった。 続きを読む(無料)「漱石先生臨終記 内田百間」

読書の記憶 六十七冊目「夏目漱石先生の追憶 寺田寅彦」

大学を卒業してから初めてついた職業が「進学塾の先生」だった。碌に研修も指導も受けずに教壇に立たされ、生徒の前で授業をしたのだった。特に教師の仕事がしたかった、と言うわけでもない。教育の仕事に興味があったというわけでもない。そもそも自分が何かを教えるとか、先生として生徒の前に立つということに相応しい人間であるようにも思えなかった。 それでも気がつくと、長いこと教育の仕事を続けてきた。単純に考えて数百人以上の生徒の前に立ち、数千時間ほど授業をしてきたと思う。たぶん、なんだかんだ

読書の記憶 六十二冊目「変な音 夏目漱石」

大学生の時に、一人暮らしをしていた時の話。夜部屋にいると、隣の部屋の方から音がした。小さなボールを壁に投げて当てているような「コンコン」という音だった。初日は、隣の人が部屋の壁に向かってスーパーボールでも投げて遊んでいるのだと思った。そこまで大きな音でもないので、特に気にもしなかった。 つづきを読む(無料)六十二冊目「変な音 夏目漱石」

読書の記憶 四十七冊目 「私の個人主義 夏目漱石」

予備校に通っていた時の話。現代文の授業の中で「アイデンティティ」という語句についての解説があった。細かな部分は忘れてしまったのだが「このアイデンティティという概念は日本にはないため、正確に解釈することは難しい。おおむね『自己を定義することがら』というニュアンスで考えておけばよいだろう…云々」というような内容だったと記憶している。 解説を聞いても腑に落ちないところがあったので、同じ授業を受けていた友人に聞いてみたところ「なんだか、わかるようで、わからない」という返事がかえって