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つまり、佐藤の本棚。

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今まで読んできた本にまつわる「記憶」の記録です。
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#読書日記

佐藤の本棚99冊目 「鼻 芥川龍之介」

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新してきた「佐藤の本棚」も99冊目となりました。目標まであと1冊。だいぶ前から「100冊目はあれにしよう」と考えていたので、あとは迷いなくゴールに駆け込むだけです。 ひとまずこの「佐藤の本棚」は、100冊で終了する予定ですが、最後に何か「特別企画」のようなものをやってみようかな、とも考えています。いや、特別なことをせずに、なんとなくゴールしてなんとなく消え去っていくのが「自分らしい」のかな。リクエストなど

【読書日記 九十三冊目】 春の夜 芥川龍之介

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新を続けてきたこのブログも、今回で93冊目、のこり7冊です。ラッキーセブンです。だからどう、というわけではないのですが、今回も淡々と更新したいと思います。 みなさんは「自分にそっくりの人」がいたら、会ってみたいと思いますか? 見た目だけでなく、年齢も仕事も趣味も住んでいる環境も。私の場合は・・・。 春の夜 芥川龍之介会社勤めをしていた時の話。私はいつものように駐車場に車を停めて会社へ向かっていた。エレベ

読書の記憶(八十一冊目) 「時間 横光利一」

こんにちは。コピーライターの佐藤(さったか。)です。私が今まで読んできた本を並べる「佐藤の本棚」も81冊目。目標の100冊まで、のこり19冊。だいぶゴールが近づいてきました。このペースで、80台を一気に駆け抜けていきたいです。 今回は横光利一の「時間」を読んでいて、思い出したことを書いてみました。小学生の頃に子供会で行った「バケツリレー」の記憶の記録です。 八十一冊目 「時間 横光利一」小学生の頃の話。子供会の行事の準備で、バケツリレーをすることになった。子供たちが一列に

読書の記憶 七十四冊目 「かえるの王さま グリム兄弟」

こんにちは コピーライターの佐藤(さったか)です。今まで私が読んできた本を並べていく「佐藤の本棚」74冊目は、グリム兄弟の「かえるの王さま」です。 私(佐藤)が、休日に一人で釣りに行った時の話。場所へ向かう途中で、 心の微妙な動きは、想像以上に身体に影響を与えるものである。 と、感じる体験をするのですが・・・。 つづきを読む(無料)↓ 佐藤の本棚 今までに掲載した作品(74冊)一覧↓ 佐藤の本棚は、100冊を目指して更新を続けています。現在74冊。目標までのこ

読書の記憶 七十三冊目 「猫の事務所 宮沢賢治」

小学四年生の時の話。国語の時間だった。担任のS先生が、教科書に掲載されている小説の一段落を読み上げた。そしてその中の一文を黒板に書くと「ここで作者は何を表現したかったと思いますか?」と、僕たちに質問をした。 何人かが答えた後、僕も指名された。僕は「作者は『動物達が踊っているように見えた』と言いたかったのだと思います」と答えた。先生は「あー、そう。次、〇〇さん」というように、特に良いとも悪いともなく授業は進み、次に当てられた生徒が答えたところで、その日の国語の授業は終わりにな

読書の記憶 七十二冊目 「注文の多い料理店 新刊案内 宮沢賢治」

「犬が走って、こちらへやってきた」 今あなたの頭の中には「犬」の姿が思い浮かんだことだろう。それは自分の家で飼っている犬であったり、友人や知人の犬、もしくは歩いてる途中に見かけた散歩中の犬、今までに様々なところで出会ってきた犬が、思い浮かんだと思う。 さらに、犬が好きな人ならば「かわいい」「楽しそう」「きっと耳を寝かせながら、跳ねるようにして、一生懸命にこっちに向かっているんだろうな」などと、楽しい感情がわきあがっているだろう。 続きを読む(無料)↓ 佐藤の本棚は、1

読書の記憶 七十冊目「雨の上高地 寺田寅彦」

「はじめて来たのに、なぜか懐かしい風景」などというと、観光案内のキャッチコピーみたいだけれども、僕にもそのような気分になった風景がいくつかある。 その一つが長野県の上高地である。大正池でバスを降り、ポクポクと足音を鳴らしながら木道を歩いていく。やがて視界が開け目の前に広がる河原へと降り、しゃがんで梓川の水に手を浸した時、僕の頭の中に浮かんだ言葉は「また、ここに来たぞ!」だった。 つづきを読む(無料)読書の記憶 七十冊目「雨の上高地 寺田寅彦」 佐藤のtwitter↓

読書の記憶 六十九冊目「はじめてのおつかい 林明子」

小学1年生の時の話。いやもしかしたら幼稚園の時だったかもしれない。記憶が曖昧だけれども、たぶん小学1年生の時の話だったと思う。母親から、肉屋に買い物へ行くように頼まれた。まさに「はじめてのおつかい」というやつである。 母親は僕に「今日はカレーを作るから、お肉を買ってきて」と説明したあと「牛肉のカタロース300グラムください」という台詞を覚えさせた。僕は、それを何度も繰り返しながら、一人で歩いて近所の肉屋に向かった。 つづきを読む(無料)読書の記憶 六十九冊目「はじめてのお

読書の記憶 六十八冊目「漱石先生臨終記 内田百間」

前回、私が進学塾の先生をしていた、ということを書いた。書き終えてから、あらためてその当時のことを思い返してみると、授業していた時の事よりも生徒と雑談をしていた記憶の方が多いことに気がついた。 授業が終わると、たいてい何名かの生徒が私の机の横に来て何やかやと話をしていった。わからないところを質問に来る生徒もいないわけではなかったけれども、ほとんどの生徒が意味のないような雑談をして帰っていくのだった。 続きを読む(無料)「漱石先生臨終記 内田百間」

読書の記憶 六十七冊目「夏目漱石先生の追憶 寺田寅彦」

大学を卒業してから初めてついた職業が「進学塾の先生」だった。碌に研修も指導も受けずに教壇に立たされ、生徒の前で授業をしたのだった。特に教師の仕事がしたかった、と言うわけでもない。教育の仕事に興味があったというわけでもない。そもそも自分が何かを教えるとか、先生として生徒の前に立つということに相応しい人間であるようにも思えなかった。 それでも気がつくと、長いこと教育の仕事を続けてきた。単純に考えて数百人以上の生徒の前に立ち、数千時間ほど授業をしてきたと思う。たぶん、なんだかんだ

読書の記憶 六十六冊「愛読書の印象 芥川龍之介」

「人の名前や地名」を覚えることが苦手だった。映画や小説を読んでいる時に「〇〇はどうした?」などのセリフが出ると「〇〇って誰だった?」と前に戻って調べる事も少なくない。というより、かなりある。暗記法のようなことを試してみたこともあったのだけど、やはりうまくいかない。思い出せないもどかしさ。これはわりと深刻なストレスである。 つづきを読む(無料) 読書の記憶 六十六冊「愛読書の印象 芥川龍之介」

読書の記憶 六十四冊「鑑定 芥川龍之介」

僕は、待ち合わせをする時は大体15分前には、目的地周辺に到着するようにしている。周辺をぶらぶらと散歩しつつ、時間になったら待ち合わせの場所に向かうことが多い。几帳面と言うよりは、時間ギリギリに出発して渋滞などに巻き込まれたりして「間に合うか? 大丈夫か?」などと気にして焦るのが嫌なので、それなら少し早めに行ってゆっくり行動した方がいい、と思っているからだ。 しかし、一度だけ相手を1時間ほど待たせたことがある。あれは僕がまだ学生で、携帯電話もメールも存在していなかった時代のこ

読書の記憶 六十二冊目「変な音 夏目漱石」

大学生の時に、一人暮らしをしていた時の話。夜部屋にいると、隣の部屋の方から音がした。小さなボールを壁に投げて当てているような「コンコン」という音だった。初日は、隣の人が部屋の壁に向かってスーパーボールでも投げて遊んでいるのだと思った。そこまで大きな音でもないので、特に気にもしなかった。 つづきを読む(無料)六十二冊目「変な音 夏目漱石」

読書の記憶 六十一冊目「日記帳 江戸川乱歩」

江戸川乱歩の「弟の日記」には、暗号を使って気になる女性にメッセージを送り続けた人物(=主人公の弟)が登場する。しかしながら、暗号は相手に「それを解く素養」があってこそ成立するわけで、凝った暗号になればなるほど届かなくなる危険性も起こり得るのである。 この世界に「暗号を使って伝えた」のに、相手に理解されずに消えてしまったことは、どれだけあるのだろう? もしかすると、僕自身も「それ」に気がつかずに素通りしてしまったことが、あったかもしれない。 つづきを読む(無料)読書の記憶