よねざわ
ボードゲームのDXにチャレンジして心が折れるまで
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ボードゲームのDXにチャレンジして心が折れるまで

よねざわ

はじめまして。
エンタメとクラウド大好きのよねざわです。

初めての個人開発サービスとして作った「ボードゲームオンライン」をローンチしてから1年経っていたので、これを機に、なにをやったのかから、心が折れてサービス放置に至るまでを振り返ってみたいと思います。


なにをやったのか

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自分で自作して実際に販売までしたボードゲームがあったのですが、スマホで遊べるようにオンライン化しました。

ボードゲームをつくって売るまでの様子はこちら。

なぜやったのか

クリエイター目線で思ったことは、これはスケールさせることが難しいなと思いました。ボードゲームはアナログで流通していくため、購入者からのフィードバックもほぼ無くただ売って終わりのイメージです。

ユーザー視点としては、やはりボードゲームは遊びたい人と遊びたいよな、ということ。自分は大学時代の仲間とよく遊ぶのですが、今は全国バラバラに散らばっていて、年に一度しかオフラインで集まって遊べていません。

ボードゲームは何を遊ぶかではなく誰と遊ぶかが重要だと思っています。知らない人と遊ぶ神ゲーよりも石原さとみと遊ぶクソゲーの方が何十倍も楽しい。

なので、どうにかしてこの課題を解決できないかと考えました。

なにを目指していたのか

作る上で目指していたのはオフライン以上の体験を実現することでした。

オフラインでボードゲームをやるのって意外と大変です。テーブルがある個室のような場所を探して、メンバーの数を合わせて日程調整もして、当日は重たいボードゲームを持ち運び、パッケージからカードを取り出して配って片付けて、など。

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そこでモバイルファーストでボードゲームができるようになれば、グループチャットにURLが届いてグループ通話をしてすぐに遊ぶ、みたいなことができます。

もっと言えば、居酒屋などでテーブルが埋まってる状態でも、人さえ集まっていればスマホですぐに遊べるシチュエーションを想定していました。

オフライン/オンラインにこだわらず、その時々で最高の体験をするための手段を用意する、みたいなイメージです。

できたもの

そうして、自分の考えた最強のサービスをローンチしてしまいました。

実際に動く画面はこちらです。

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少なくとも、みんなで集まってこのゲームを遊ぶときにアナログ版ではなくデジタル版の方で遊んでみようか...ぐらいのクオリティにはなったのかもしれません。

技術面

Firebase + Vue.jsで作成しました。特にFirestoreのリアルタイム同期の機能ですが、これがなければこのサービスは成立していないというレベルで役立ちました。

開発時間の半分くらいは「一度閉じてしまっても復帰可」など地味だけどUXに強く影響する部分にリソースを割いた気がします。UXの磨き込みには時間がかかるというのが気づきです(間違った方向へのプロダクトの最適化とも言えるので注意しましょう)。

以下はFirebaseのイベントで紹介させて頂いた時の特集記事です。

どうだったのか

ローンチ後は訪問数も伸びず離脱率も高かったです。

短期的目線で考えると

・そもそもこれはどういうサービスか分からない
・1人でゲーム開始しても遊び相手がいない

 という基本的なところによるものが原因だったと思います。当時の視野レベルでもユーザーテストからUX改善を繰り返すという判断はできたはずですが暴走が始まります。

暴走

当初は

・この初期作品はデモ用という位置付け
・売上や知名度に悩むクリエイターにオンライン化を提案
・コンテンツが溜まっていきボードゲームプラットフォーム化へ

という超ポジティブなロードマップで動いていました。

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「今の音楽業界はサブスク(デジタル)で初めてバンドを知り、バンドを好きになる。そして最高の体験であるライブ(アナログ)に行く。ボードゲーム業界も同様のムーブメントが起こるはずだ!」

そんな思想で動いていました。あとは、世界展開ができるようになるとか、プレイデータがとれるのでAIbotが作れるようになるかもとか、トンデモDXあるあるなビジョン描いてましたね。

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※当時のトンデモスライド。黄金のピラミッド(笑)

しかし実際にクリエイター側に何件か営業してみると

・アナログ版の売上が伸びるとは思えない
・現状、サービスの訪問数が少ない
・え?ボードゲームをオンラインで?

という反応。

正直、オンライン化にお金を払うどころか
「タダでもオンライン化したくない。」
というようなイメージでした。

上京、イベント出展へ

迷走は続きます。

元々、自分で事業をしたいという想いがあり生活拠点を札幌から東京へ。

ゲームマーケット(コミケのボドゲ版みたいなイベント)に向けて2作品目のアナログ版製作。

当日はアナログ版/デジタル版の同時リリースという試みを行い、直接ユーザーの反応を取ろうとしました。


2作品目のデジタル版の開発は2日間ぐらいで作った気がします。

この間、ふとした疑問が生じます。

「仮にタイトルが100個あるサービスになったとして、はたして自分はこのサービスを熱狂的に遊ぶだろうか?」

という自問自答が頭を駆け巡ります。そこでようやく重い腰をあげて競合サービスの分析を真剣に行います。

競合分析をする

競合のサービスであるBoardGameArena。

こちらのサービスは

・モバイルファーストではない
・UI/UX少々古め

であり、そこで差別化できるという仮説でした(今振り返ってみると、日本人の主観で海外サービスのUIを判断するのは非常に危険ですね)。

しかし、掘り下げた結果

・ローンチから10年
・タイトル開発/翻訳のフレームワークを用意
・有志によるコンテンツ製作
・1人で参加してもマッチングする
・基本無料タイトル数100越え

という強みがありながら、そのときに確認したオンラインユーザー数が1,000人程度だったということが今でも覚えています(参考:PS4の月間アクティブユーザー数は1億人)。

つまり月間アクティブユーザーが10万人ぐらいとかなり高めに計算してみても

10万人 × 課金率5% × 価格500円 = 月間売上250万円

となり、大体の市場規模感が見え「このビジネスはそもそも伸びるのか?」という疑問が生まれます。

この一件以来、競合や類似サービスは徹底的に分析して、すでに競合が検証した仮説を再検証するようなことはするべきではない、という言葉にしてしまえば当たり前の思想が染みつきました。

心が折れる

そんな心境で迎えたゲムマ当日。

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デジタル版の反応をとるどころか、そもそもアナログ版の売れ行きが前作のときに比べてかなり悪かったことが折れかけた心に拍車をかけました。

原因は前作のジャンルはパーティーゲームだったのですが、今作は格闘ゲームで、そもそもターゲットとなる母数が少なかったのが見えていませんでした。

デジタル版の試遊の反応は

「えっ!?スマホでも遊べるの!?」
「(操作しながら)すごいすごい〜」

という反応はありましたが、その後のアナログ版の購買につながった数はゼロでした。

また、自分で会場の全ブースを周り、一部のクリエイターに営業を行った結果、そもそもオンライン化をしたいという需要があまり無く、市場もまだ成熟していないということを確認します。


みたいものだけをみて、みたくないものをみようとしなかった自分。

思い込み、バイアスは恐ろしいと強く感じた1日でした。


この日、私は遅すぎるピボット(方向転換)を決断します。

あれから

その後はどういう打ち手を打っていこうか、そもそもボードゲーム市場でやるべきかと迷っていたのですが、縁もあって渋谷にてヘルスケア系スタートアップを共同創業しました。

そのため、ボードゲームのサービスは現在放置していますが、たまにデータベースを覗くとコロナ禍の影響で訪問してくれたであろう外国人ユーザーがプレイヤー名を入力するまでやってくれてたりするのをみると、心にくるものがあります。

ふりかえり

一言で言えば「恥の多い生涯を送って来ました。」と振り返りたくなるように、全てが間違いだらけのサービス開発をしていたと思います。

ヒアリングもロクにしない。浅い課題にフォーカスする。そもそも市場が小さい。

俺の考えた最強のサービスの典型例ですね。

作り手は「俺が考えた最強のサービス」を作ってしまいがちで、実際に思い込みをもとに数ヶ月間開発したアプリをいざリリースしてみると、誰にも使われない、ということが往々にして発生しています。

その後の共同創業したスタートアップの方では起業の教科書的な本である起業の科学の通りに忠実に行いました。

実際にやってみて、この本の通りにすすめればボードゲームオンラインでの失敗100個くらいあるうちの半分以上は潰せたのかもしれないと思ったので、サービス作りを志す人が読むべき最初の1冊なのかなと思います。

気づきとしては

・先行している分野の競合分析は超大事
・バイアスから逃れるのは不可能
・感情のみで意思決定せずデータを見る

などたくさんありますが、「極力、失敗を避けるべきか」という問いに対しては自分は消極的で、小さく速く失敗して改善し続けるというスタンスがベターだと思っています。

今回の自分の場合は間違った方向に歩き続けて大きく失敗して足が止まってしまったので。

理論上、正しい方向に向かって足を止めずに死なずに歩き続ければ失敗しないはずです(ただし登る山の選定は慎重に)。

というように、いろいろありましたが、ゼロからローンチまでをワンオペでチャレンジした経験は今でも宝物です。

これから

スタートアップでは非常に貴重な経験ができたのですが、訳あって今年の春から札幌に戻って起業準備をしていました。

初めは北海道特有の課題探しに躍起になっていましたが、自分自身がやり続けられる分野にコミットするべき、つまりwillが大事と気づいた結果

・(まずは)北海道に与えるインパクトが大きい事業を行う
・テクノロジーを活用してユーザー体験をアップデートする

という2つの方針でやることを決め、コロナ禍ではありますが、旅行業・観光業の分野に潜り込もうとしている最中です。

もしこちらの分野に詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひともメッセージしていただけると幸いです!

#ボードゲーム #DX #スタートアップ #firebase #個人開発

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よねざわ
エンジニア起業家です。Fire Cracker代表。エンタメとクラウドが専門。ゲーム・邦楽ロック・マンガが好き。