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ブレスビルダー

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目的・効果

リラックスした自然な呼吸と、充分な息の「流れ」(「圧」ではない)のコントロールを養います。

身体の「外側」での空気の動きを視覚化し、身体の「外側」での空気の動きに意識を向けコントロールすることによって、
身体を固めずに制限なく自由に動けるようにすること、そして、身体の「外側」でのフリーで充分な息の流れのコントロールを習慣化します。

身体を意識的に「この部分がこう動いて…」と動かそうとすることでは達成されにくい本来の動きが、器具を利用することによって自然に生まれてきます。


使用方法

ブレス・ビルダーは、プラスチック製の筒の中にピンポン玉が入っており、上部には太いストロー状のチューブが取り付けられた器具です。
筒の上面には、大小いくつかの穴が空いており、これを塞ぐことによって抵抗を調節できるようになっています。


・立てて持ち、ホースに口をつけて、リラックスしたまま息を吹き込み、中のピンポン玉を空気の流れによって上に持ち上げるようにします。
   この時、激しい強い息は全く必要ありません。身体は終始リラックスしたまま。
   フリーな効率的な息の「流れ」さえあれば、楽なままピンポン玉は持ち上がります。
   (「流れ」が不十分な場合、ピンポン玉が一番上まで上がりません。)

・持ち上がった状態をキープしながら、息を長く吐き続けます。
   この時、意識する・コントロールするのは、身体の「外側」の空気の流れです。
   身体自体は、リラックスして動きを全く固定・制限せずに、動くままにしておきます。

・吐ききったら、そのまま連続的に息を吸い込みながら、ピンポン玉が上がったままに保ちます。
 (吸う動作と吐く動作の切り替えの時にピンポン玉が落ちてしまう場合、それは呼吸に中断があることを意味しています。中断なく連続的に動作をつなげます。)

・持ち上がったままをキープしながら、息を長く吸い続けます。
   この時も、意識するのは、身体の外側の空気の動きです。
   身体はリラックスして放任しておき、自動的に適切な動きをするようにします。

・吸い切ったら、そのまま連続的に息を吐き出し、ピンポン玉を上げたままにします。

・以上のように「吐く」と「吸う」を動作を連続的に交互に行いながら、ピンポン玉が上がった状態を常にキープします。


つまり、「吐く」と「吸う」を途切れなく連続的に行いながら、常にピンポン玉は上にキープします。
そして、意識したりコントロールするのは常に身体の「外側」の空気の動き。身体は意図加えることなくリラックスしたまま放任しておきます。
身体は固定していない限り、自動的に良い動きが生まれてきます。


練習の際のポイントとしては、
・身体は固めずに放任しておき、動くがままに任せる
・身体をギュッと固めて強く押し出すよりも、実は身体は固めずにリラックスしていた方が、空気を上手く動かせることを理解する。
・ピンポン玉が上がった状態を目で確かめながら、空気の動きや質を感じ取り、実体としてとらえる
・チューブから筒の中での空気の動き、つまり身体の「外側の」空気の動きを意識し、コントロールする
 (それによって結果的に身体は適切に動く)

という点です。

このことについては、「なぜ器具を使った練習をするのか?」を必ずお読みください。
器具使用のねらいを知らないままに練習しても、期待される効果を得ることができません。
残念ながら、日本でのウェブ上の情報は動画を含め、器具使用のねらいや意味を正確に伝えていない状況にあると思います。


ブレスビルダーで特に注意すべき点は、ピンポン玉を持ち上げようとするあまりに、身体をギュッと固めてしまったり、無理やりなテンションのある息を吹き込む必要は全くないということです。

筋力トレーニングをしているのではありません。いかに楽なまま空気を自由に動かし、身体が制限なく動いているか、が重要な点です。
身体はただ解放しておき、柔軟なままにしておきます。
そして、身体の外側での充分なフリーな息の流れを意識しコントロールする事によって、身体は自然に適切に動いてほしいのです。

ブリージングバッグで学んだように、身体の外での空気の流れは、身体をギュッと固める事よりも身体をリラックスさせたままの方が、実は、より効率的に行うことができるのです。
身体を固めてギュッとやる事が空気を上手く流すことだと思い込んでいる場合は、むしろその逆であることを再確認しましょう。

ブレスビルダーの練習で、もし身体が固まってくる傾向が見られたら、ブリージングバッグに戻り、リラックスした身体の動きによる空気の効果的な動かし方を思い出すことをお勧めします。


このブレスビルダーでは特に、息を吐いている時の、身体の「外側」での空気の流れを感じ取り、それをコントロールすることを理解していきます。
唇から外側での空気の流れを、まず感じ取れるようになり、そしてその質(「静的な圧ではなく、動的な流れ」)を感じ取れるようになり、そしてさらにそのコントロールを学びます。
このことが、楽器を演奏する際の息のコントロールに直結します。


さらに、応用的には、実際の音楽的パッセージで息のコントロールの練習ができます。
(ここでは省略。)


また、筒の上部には、大きめの穴1つ、小さい穴2つが空いていますので、穴をふさぐことによって、抵抗を調節することができます。
穴をより多くふさぐと、抵抗が増し、より高音域の状態に近くなります。

穴を塞いだ状態で、抵抗を高めた練習の場合、息を吐く時にのみ穴を塞ぎ、吸う時にはオープンにします。
(吸う動作は演奏の際に、いつでも抵抗のない状態で行われますから。)

穴を塞ぐと、抵抗が増しますが、それにも関わらずいかに楽なまま息を流せるか、がポイントです。
抵抗が増えても、楽に息が流せれば流せるほど、良い結果を生みます。
抵抗につられて、自分の身体も固まることのないよう注意しましょう。


■"Also Sprach Arnold Jacobs"より

書籍「アーノルドジェイコブスはかく語りき」の原書、"Also Sprach Arnold Jacobs"にある、ブレスビルダーの説明文を訳して掲載します。
[ ] は原文にあるカッコ。( )は、高垣による註。

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(呼吸練習器具の中で)最もシンプルな器具がブレスビルダーです。ネヴァダ州ラスベガスのファゴット奏者であった故Harold Hansenによって開発された器具で、息の吸い込みと吐き出しの感覚を養うために使用されます。プラスチックの筒 [最低6インチ(=15.24センチ)の長さ] で、中にはピンポン玉が入っています。底は閉じていますが、上部には抵抗を変えるための3つの穴が空いています。

使用法としては、チューブをくわえ、息を吐き出すか吸い込むかのどちらかによってピンポン玉が筒の一番上に来るようにします [これが一番容易な段階]。そしてそのピンポン玉の一番上に来ている位置を、ゆっくりとした息の吸い込み・吐き出しをしながら保ちます。ブレスビルダーでは、ピンポン玉を上に保つために14オンス(=約396.9g)の圧力を必要とします。

使用する時には、弦楽器奏者が弓を端から端まで全体を使っている動きをイメージして下さい。使う弓の長さを増やしていくように、吸い込みや吐き出しの動きをできる限り長くしていって下さい。ピンポン玉を上にキープするための最小限の機能を見つけて下さい(=無理やり力んで行うのではなく、リラックスして楽にできるようにしていく)。鏡を見て、最小限の力で(=無理なく)息を動かし続ける体の動きを観察して下さい。息の吸い込み [体の拡張] と吐き出し [体の収縮] をより拡大して下さい。

次に、筒の上部にある穴をふさいで抵抗を減らして(「増やして」の誤り?)行います。弦楽器奏者が弓使いを長くしていくのをイメージしながら、長く吸い込みや吐き出しができるようにしていきましょう。
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原文の英語は、WIndSing Pressウェブサイトのブレスビルダーのコーナーにも掲載されています。


■動画

ジェイコブスの直接の生徒であり、ジェイコブスの教えを引き継いでいるクリスティアン・スティーンストロプの動画です。

これは有料配信のマスタークラス動画の一部サンプル動画であり、全編ではありませんが、0:55からが、ブレスビルダーの説明と実演(の一部)です。
全編では、丁寧に説明と使用のデモンストレーションがなされています。


また、以下のスティーンストロプ氏のマスタークラス(のサンプル動画)でも、ブレスビルダーの使用を見ることができます。


そして本家、アーノルド・ジェイコブスの動画をどうぞ。


■購入リンク

 ・Amazon ブレスビルダー
 ・ジャパン チューバセンター
 ・バルドン楽器
 など
 楽器店の店頭でも見かけた事があります。

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トランペット奏者。インディアナ大学ジェイコブス音楽院演奏家ディプロマ修了。慶應義塾大学文学部教育学専攻卒業。著書『パワーアップ吹奏楽!からだの使い方』(ヤマハミュージックメディア)。www.satoshitakagaki.com