評価は状況次第。 結果は後追いでついてくることも。

以前、イーロン・マスクが「天才発明家」なのか、それとも「天才詐欺師」なのかをAIに尋ねたことがありました。

マスクはその時々の会社の業績や株価によって評価が180度変わります。自動運転の無人ロボタクシーの実現可能性が怪しくなると辛辣なアナリストに酷評され株価は下がり、逆に車の出荷台数が期待を上回ると、手のひらを返したように評価が上がります。マスクは天才であることに疑いはありませんが、発明家なのか詐欺師なのか、その評価が揺れ動く様子には今でもモヤモヤするものがあります。

最近、似たようなエピソードに遭遇しました。

カリスマ経営者とカリスマ詐欺師

先日、元マイクロソフトのプログラマーである中島聡さんが彼のメルマガで、似たようなことについて語っていました。「カリスマ経営者」と「カリスマ詐欺師」は状況次第でどちらにもなり得るという内容です。

会社が利益を上げていればアップル創設者のスティーブ・ジョブスのような「カリスマ経営者」と崇められ、逆に成果が出ていなければエリザベス・ホームズのような「カリスマ詐欺師」とみなされる。（彼女は一滴の血液で数百種類の検査ができるという技術を開発したと主張し、シリコンバレーで一躍注目の的になりました。投資家からは巨額の資金を集め、一時は「次世代のスティーブ・ジョブズ」とまで称賛されました。しかし、その技術はほとんど機能せず、結果として投資家や患者に虚偽の情報を提供した詐欺罪で有罪となり、現在服役中です。）

このように、評価が状況によって大きく変わることは決して珍しいことではないようです。

バブルか繁栄か

YouTubeの「Pivot」でエミン・ユルマズさんがAIやNVIDIAについて話している動画を観ました。彼は、NVIDIAについて、今後も業績が伸び続ける前提で株価が上がっており、「バブル」に例えています。

一方でAI技術がさらに進化して実用化されれば、株価はバブルではなくなり、むしろAIが市場価値を超越した存在になるかもしれないとも指摘していました。実際に、2024年の12月にITサービス企業のセールスフォースが決算発表で、AIを使ったサービスの売り上げが伸びていることを発表しました。すなわち、AIの実用化はすでに始まっていると言えます。となると、バブルと思われていたNVIDIAの株価に根拠が追いついてきたため、もはや割高ではない！という意見も出てきそうです。

この話もまた、タイミングと状況次第で評価が180度変わる可能性を示しています。

これらのエピソードが我々一般人に意味すること

こうした話を聞いていると、私たち一般人に示唆するものがあると感じます。例えば、まだ営業課長として小型案件の営業管理経験しかない人が、「大型案件を扱う営業部長募集」の求人を目にしたとします。この時、「まだ早い」と見送るか、「できます！」と無理を承知で挑戦するかで、その後の人生はが変わることがあります。いわゆるハッタリを言って、なんとかオファーを受け、そこからがむしゃらに努力したことで、結果的にそのポジションで成功し、実力が後から追いついてくることがあります。時の運もあるかもしれませんが挑戦したことで、その地位にふさわしい人物に成長するのです。

私の過去の経験上、こうした大胆な挑戦への姿勢は、環境や文化によっても大きく異なります。勤めていた米系企業では発展途上国や生存競争の激しい国からの社員は、「何が何でも這い上がる」というハングリー精神が強く、時にはハッタリを使ってでも成功をつかもうとする傾向が強いです。

一方で、日本人は比較的安定した環境で育ち、現状を維持するだけでも十分に生活が成り立つため、こうした積極的なリスクを取る人は少ない印象があります。

自身の経験で恐縮ですが、私も若い頃はどちらかというと謙虚で引っ込み思案だったのですが、グローバルな環境で競争を強いられているうちに、だんだんと図々しくなっていきました。たとえ挑戦して結果が出せなかったとしても勝負は時の運と思うようになりました。結果がだせれば儲けもの、だせなくても命まで取られるわけではなく、挑戦したという事実は残り評価されます。

また、挑戦した事実そのものが評価されることもあります。積み重ねた経験が新たな挑戦の機会を生み出すこともありました。

さいごに

これらのエピソードを通じて思うのは、評価は常に状況やタイミングによって変わるということです。しかし、それを恐れて挑戦を避けるよりも、リスクを取り成長のチャンスをつかむことが大切と思います。理由は、たとえ背伸びをしても、その挑戦が結果的に自分の力を引き出すことにつながるかもしれないからです。

ちょっと背伸びして、自分の実力以上のことに挑戦してみませんか？

以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。