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冬の想い
湖を渡る風は強く冷たく
空を行く雲をさえせきたてるように
意志を持つかのごとく吹いている
湖面に波は立ち
水鳥はその間に漂いながら
ひたすらじっとその身をまかせている
そして時折り水にもぐり
得るものはあったのだろうか
再び水に浮き
波の間に間にその姿は見え隠れしている
たたずめば
時の流れが風の流れに重なって
私の魂をどこかへ連れ去って行くような
あるいは
自然の力になすがままにされている
あの水鳥の背に私の魂を乗せてしまうような
そして水鳥が飛び立つときに行く先を委ねてしまうような
何ものでもなく
何ごともまだなし得ていない
私の
魂
春はまだ遠く
光はまだはるか先にある
それでも
この冬の時間
この冬の
気の遠くなるような長く冷たい時間に
自らの想いを魂に凝縮して
いつか巡り来る
いつか辿り着く
春を待っている
春を想っている
凝縮した冬の想いを
魂の錘りとして
決して風にも鳥にもさらわれずに
時の流れをも超越して
やがて来る春を
待っている
来るべき春を
想っている
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