見出し画像

特許って、本当に必要???

ITサービス系企業なら、まずは自分のサービスを包括する特許を出願すべき

あなたの企業に差別化戦略が一つでもあるのなら(つまり、投資家から資金を調達し、数年以内のExitを義務付けされている全てのベンチャー企業が当てはまると思っております。)、特許がわからないから手を出さないのではなく、自らの事業分野をしっかりと定義した上で、適切な専門家の手伝いをもらい、その特許を出願すべきです。冗談抜きに、真剣に検討してみてください。

いきなりステーキ特許事件!!!

事件でも何でもないんですが、ついそう書きたくなる本件は私にとって大きな驚きでした。いきなりステーキを展開する「ペッパーフードサービス社」が好みの量のステーキを、立食形式で安価に提供するという事業を象徴するような特許を取得していることをみなさんはご存知でしょうか?

https://patents.google.com/patent/JP5946491B2/ja

もともとは、以下のような特許出願でした。

お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、
お客様からステーキの量を伺うステップと、
伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、
カットした肉を焼くステップと、
焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップと
を含むことを特徴とする、ステーキの提供方法。

その後、異議申立により訂正され、以下のような特許で成立しています。

お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、
お客様からステーキの量を伺うステップと、
伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、
カットした肉を焼くステップと、
焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップと
を含む
ステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、
上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、
上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、
上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しと

を備える
ことを特徴とする、ステーキの提供システム。

最終的に、知財高裁は以下のように結論づけています。

本件特許発明1の技術的課題,その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らすと,本件特許発明1は,札,計量機及びシール(印し)という特定の物品又は機器(本件計量機等)を,他のお客様の肉との混同を防止して本件特許発明1の課題を解決するための技術的手段とするものであり,全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するということができる。
したがって,本件特許発明1は,特許法2条1項所定の「発明」に該当する。

これにより、「いきなりステーキ」と全く同じ立食形式のステーキ屋を営むことは不可能になりました。ただし、どのような「肉量顧客指定型ステーキ店」なら問題なさそうか少し考えてみましょう。

1)まず何よりも、立食形式でなければ問題ないですね。
  ただし回転率は下がります。
2)お客様がテーブルに案内されず、「はなまるうどん」のように
  自らお盆を持ち肉のみならず野菜とかご飯とかデザートなどを
  注文をした上で、自ら「モスバーガー」のように立て札を
  受け取り席についたとしたら、非侵害ですね。
3)カットした肉をお客様が焼いたら、大丈夫そうですね。
4)テーブルまで持っていくのではなく、「マクドナルド」のように
  お客様に取りに来てもらえば、大丈夫そうですね。

というように回避はできるかもしれませんが、なんとなく面倒では?お客様目線でしっかりと仕組み(プロセス)を見極め、作り込み、磨き上げ、お客様にとってベストの仕組みとしての自負があるなら、競合を牽制する意味でも、お客様に対する安心感を与える意味でも、特許取得を検討してみては?デッドコピー(全く同じ事業モデル)の競合が現れないだけでも意味があるのでは?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?