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コロナに負けず、“お酒”を気持ちよく飲みたい人へ贈る「5つの行動原則」

新型コロナウイルスの
感染「第6波」が来たとしても…

 新型コロナウイルスの新規感染者数が急速に減少した。各地に発出されていた緊急事態宣言は全て解除された。

 新規感染者減少の理由は分からない。感染者の顕著な減少は、菅義偉前首相が自民党総裁選への立候補を断念した頃から始まったが、さすがに菅氏の去就は無関係だろう。テレビでよく聞いた奇妙な言葉である「人流」が、感染者数の減少に見合うほど減ったようにも思えない。


 まして、過剰なまでの飲食店への規制にはどれだけ効果があったのだろうか。政府や自治体の「やっている感」の演出のために店での飲食が狙い撃ちにされたように感じる。

 おそらく、コロナの流行には季節性があるのか、ウイルスの種類別(今回の第5波は、主に「デルタ株」)に流行の長さがあるのだろう。感染が下火になっていることはまことに好ましいが、「第6波も十分あり得る」という想定の下にあれこれを考えるべきだろう。

飲食店への行き過ぎた制限で
飲食店も客も気の毒だった

 さて、緊急事態宣言の最中も含めて、筆者は、コロナ対策としての飲食店に対する制限が行き過ぎていて、方法も不適切だと考えていた。

 悪者にされ、日々のやり甲斐のある仕事を奪われ、収入を断たれ、補償は不十分で支給の手際が悪い――。飲食店の経営者・従業員の方々はまことに気の毒だった。加えて、客の側も、リラックスできる楽しみを奪われたし、特に若い独身サラリーマンなどは、お酒が飲めないだけでなく、少し残業したらコンビニかファストフードチェーンで食料を調達するしかない「食事難民」になって、やはり大変気の毒だった。


 今回の緊急事態宣言明けに伴い、概ね飲食店の営業を21時まで、アルコール類の提供を20時までとする方向のようだ。不満はあるが、宣言期間中よりはましだ。

 久しぶりに、夜の街でお酒を飲むことができる。「20時なんて、夜のうちに入らない」と言いたい向きの心境は大いに理解するが、ゼロ回答よりもいい。

コロナに負けず、お酒を気持ちよく飲むコロナ時代の酒飲み5原則

 この機会に、次のコロナ流行があり得ることも考えつつ、お酒を飲む側で心掛けておきたい行動ルールを「5原則」にまとめてみた。以下の通りだ。

【コロナ時代の酒飲み5原則】
(1)1人または2人単位で飲む
(2)小声で話し、静かに飲む
(3)少し高いお酒を飲む
(4)「飲み会」ではなく「飲み」に行く
(5)家飲み・オフィス飲み・オンライン飲みを併用する

コロナ時代の酒飲み5原則(1)
1人または2人単位で飲む

 感染症が問題である環境下では、多人数で集まってワイワイ飲むような機会は、いわゆるクラスターを発生させるリスクがあることを認めざるを得ない。

「ワイワイ飲む」ことが楽しいことは十分存じ上げているつもりだが、3人を超える人数で飲むと、会話に物理的な距離が生じることもあって、飛沫が飛びやすい。また、いかにも小心な組織人のような気遣いで情けないが、「多人数の会合が感染源になった場合」の風評のリスクを含む、組織のリスクには気を遣わざるを得ない。社員に「会食禁止令」を出す(何の権限で?)権威主義国家のような不幸な職場にお勤めの読者もおられよう。

「1人または2人単位で飲む」というくらいを線引きにしておくのが、コロナ感染の「第6波」が来ても愚かな「禁酒法」に抵抗できる方策ではないだろうか。

 本当は4人くらいで会話を楽しみながら飲食するのが、いかにもちょうどよくて楽しいのだが、4人組で飲みに行く場合は2人ずつの組に分かれる、というくらいのルールに対応できる心の用意があるといいのではないだろうか。


コロナ時代の酒飲み5原則(2)
小声で話し、静かに飲む

 席の間隔を空けた換気のいい店で、1人ないし2人単位で飲んでも、隣のテーブルの客と大声で話すのでは「別々に飲む」ことの効果が薄れる。

「話すために、飲む」という状況と心境があることは重々承知しているが、お酒は静かに飲むものなのだと心に決めておく方が、心穏やかに飲める。

 酔って話すと、時に声が大きくなる筆者自身も自戒しなければなるまい。


コロナ時代の酒飲み5原則(3)
少し高いお酒を飲む

 席間を空けて時間当たりの客数を減らし、さらに営業時間・アルコール提供時間の短縮まで強要される飲食店の営業は経済的に苦しい。

 もちろん、どの程度「お店を応援」するかは、個人の懐事情や飲み方のスタイルによるだろうが、「いつもよりも少し高いお酒を飲む」と決めるのはいかがだろうか。

 予算面で酒量が減ると、静かに味わって飲むことが容易になるし、いつもと同じだけ飲むとお店の客単価を持ち上げることになる。おいしいからいつもよりも飲むということになるなら、お店を応援する心持ちに勢いが加わって大いに気分が良かろう(飲み過ぎには注意してください)。

 少しずつ高いお酒が売れることは、飲食店にお酒を納入する酒屋さんや酒造メーカーへの応援にもなるし、日本の酒文化のレベルアップのためにもいいことだ。


コロナ時代の酒飲み5原則(4)
「飲み会」でなく「飲み」に行く

 飲むときに何らかの「会」を作って集まるのは楽しい。誰かの「誕生会」でもいいし、特定のメンバーが決まった趣旨で定期的に集まる「○○の会」的なものも味わい深い。呼ばれたことがないが「桜を見る会」に付随する飲み会は、さぞ楽しいものだったのだろう。

 しかし、2人の場合もあり得るが、「会」となるとどうしても人数が増えがちだ。「話のために飲む」ことになりがちな「飲み会」は、クラスターにつながりやすいし、場合によってはお店にも迷惑が掛かる。

 しばらくの間、外で飲む機会のスタンダードは、「飲み会」ではなく1人ないし2人単位を原則として、お酒を飲むことを主目的に行動する「飲み」(「飲」に発音上の強調)だと心得ておきたい。


 もちろん、「飲み」の機会は、多様なものが多数あるといい。


コロナ時代の酒飲み5原則(5)
家飲み・オフィス飲み・オンライン飲みを併用する

「外のお店で飲むのは楽しい!」。昨年来のコロナの状況下で、一時的に規制が緩和された時に多くの人がそう感じただろう。しかし、メンバー的にも時間的にも、外のお店でのびのび飲もうとするとお店や他のお客さんに迷惑が掛かる可能性がある。しかも当面、飲食店でのアルコール類の提供には(厳しすぎる)時間制限がある。不自由だ。

 この問題の部分的な解決策が、家飲み、オフィス飲み、オンライン飲みだ。

 自宅にいて1人で飲むお酒はさすがにいまのところ、質・量・時間に制限がない。そして、外で飲むよりも驚くほど(!)安い。特に、値の張るお酒は家で飲むと経済的だ。

 また、自分の家に友人や同僚などを呼ぶことができる(羨ましい)条件をお持ちの人なら、集まっての「家飲み」(家族に負担をかけるかもしれないが)は素晴らしく経済的だ。

 オフィスの会議スペースなどで、感染症対策を十分に考慮して適当な人数で行う「オフィス飲み」は、自由度と経済性の点に長所がある。出前を取ったり、弁当を調達したりして、用意したお酒を飲むと、時間を気にせずに飲むことができて具合がいい。ワクチン接種済み同士でじっくり飲むにはなかなかいい。お勧めである。


 また、多くのメンバーで飲みたい場合、コロナに対するリスク感覚、所属する組織のルール、個人が意識しなければならない風聞リスクなどの点で、なかなか合意できない場合がある。こうした場合には、条件合わせにイライラしたり、いつまでも条件が合うことを待ったりするよりも、さっさとオンライン飲み会を開いてしまう方が建設的だろう。

 ただし、経験からアドバイスを申し上げると、オンライン飲み会は、発言していない時についついお酒を飲んでしまうし、終わりの時間が延びやすいので、飲み過ぎになりやすいことをご忠告申し上げておく。


お酒を「飲ませる側」の飲食店と
政府・自治体に望みたいこと

 飲む側のルールだけでなく、「飲ませる側」である飲食店、さらに飲食店を規制しようとする政府・自治体への要望を述べておこう。

 まず飲食店には、やる気を失わずにぜひ営業を続けてほしい。感染症の流行(今後いくらでも起こり得る)くらいで商売をたたむのは残念すぎる。

 席間の確保や換気、消毒の徹底などの対策は当然として、より長時間の営業を模索してほしい。規制の考え方にあっても、営業時間は「短縮」するのでなく、むしろ前後に「延長」して、客同士の密度の上昇を避けながら店が採算を取れるように配慮する方向を目指すべきだ。

 例えば、一人客が静かに飲むようなショットバーを、アルコールの提供は20時までだと規制するのは馬鹿げている。善良なる酒飲み諸氏は、知事をリコールしたい怒りに駆られているのではないか。

 業態や店の構造、感染症対策の良し悪しなどで規制は変わって然るべきだし、なるべく店や客の自由な判断に任せるべきだろう。自治体には、もう少しきめ細かく、かつ柔軟な対応を望みたい。理不尽な規制を振りかざして、ルールが守られたり、守られなかったりするような状況が生じると、地域社会が荒れる。守られないルールならない方がましだ。コロナに対して、ワクチン接種も進んで治療薬にも希望が出てきたのだから、「対策は国民・住民の行動の規制だ」という基本姿勢をそろそろ変えるべき時だろう。

 例えば、「客の単位は2人までで、静かに飲食すること」を店も客も守るような飲食店に時間制限は不必要だろう。

 また、営業上の事情が異なるので一律ではないが、店側には、「単価は上げてもいい」、しかし「提供する飲食の質は落としてほしくない」と要望を述べておく。日本の物価の国際比較上の安さは飲食店にも広く及んでいるが、「安いニッポン」が「まずいニッポン」に変わることは、経済の上でも文化の上でも、絶対に避けてほしい事態だ。

 コロナに負けずに、おいしいお酒を気持ち良く飲みたい。

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