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なぜ「新しいDX戦略」を出版したのか?

6月25日に新刊「未来ビジネス図解 新しいDX戦略」が出版されました。ここでは、本書の出版の経緯と「はじめに」の部分をご紹介します。

本書の出版のきっかけと経緯

本書を執筆したのは、ちょうど一年前に出版した前著「未来IT図解 こらからのDX」がきっかけです。前著の企画は、国内でコロナウィルスの感染が拡大する直前の2020年1月7日に編集者の方から、会社の問い合わせフォームを通じてメッセージを頂いたことから始まりました。そして、翌週の1月16日に会社の会議室でお話を伺いました。出版元であるエムディエヌコーポレーションは、デザインやクリエーティブ関連を得意とする出版社で、それまでにイラストやデザインワークを駆使した未来IT図解シリーズを、AI、IoT、ブロックチェーンなど技術分野ごとに8冊出版していました。その次の企画として当時話題になり始めていたDXを取り上げたいとのことでした。その際に提示していただいた企画書のセールスポイントとしてあげられていたのが以下の点です。

・⾔葉としてはわかっているようで正しくは理解していない DX の基本、意義、現状の問題点やもたらされる未来が図解で理解しやすい
・経営者層・マネージャー層・現場といったどの層にも、基本的なことが理解できる
・今後展開されると⾒られている業界・分野、必要な最新技術との関係性など、既刊書では得られない情報が充実
・対象読者と親和性の⾼いブックデザイン

そして、出版の主旨として掲げられていたのが「DX を成功させるには様々な課題が存在し、また、経営者層・マネージャー層・現場によっても⾃⾝の課題・やるべきことが変わってきますが、そもそもその前に「DX って何?」「何で理解が必要なの?」というレベルのビジネスパーソンは⾮常に多いと考えられます。本書はそういった多くの⼈々を対象に、やさしい⽂章と豊富な図解で、DX の基本を学べる⼀冊とします。」という言葉でした。

私自身も、それまでにDXに関するコンサルティング・プロジェクトや依頼講演などで感じていた課題でしたので、喜んでお受けすることとし、初めての緊急事態宣言のさなかに自宅にこもって執筆しました。この書籍が多くの好評をいただき、出版社的には良く売れたということで、2020年12月に同じ出版社の同じ編者者の方から続編的位置づけとして新刊のご依頼をいただいたという経緯です。前著からちょうど一年が経過しており、その間コロナ禍の影響もあってデジタル化への関心や重要性の認識も高まっていることからとのことでした。そして、企画が進んでいる最中に第2回目の緊急事態宣言、そして、執筆の佳境のところで第3回目の緊急事態宣言ということになりました。ということで、結局のところ編集者の方とは最初に1回お会いして以来本日にいたるまでリアルでお会いしていません。実際にお会いしなくても、オンライン会議やオンライン共有ドライブを使って2冊の書籍が作れたことはデジタル化の恩恵といえるでしょう。ちなみに、これら2冊の間に、別の出版社から「テクノロジーをもたない会社の攻めのDX ーー非IT・非デジタル企業が秘める破壊的」という書籍を2020年10月に出版していますが、こちらの編集者の方とは、結局一度もリアルでお会いしていません。

本書の「はじめに」より

デジタルトランスフォーメーション(DX)が国内でも注目され始めて数年が経過し、ほとんどの企業が何らかの取り組みを開始していますが、ここにきてその姿勢に二極化が起こっているように感じます。一方は、コロナ禍の閉塞感や国際競争力の低下に危機感を感じてDXの推進に力強く舵を切った企業であり、他方はDXの先に目指すべき未来像を描けず、現状を肯定し、DXに踏み切れない企業です。この二極化現象は、業界ごとの格差にも表れており、また組織内の個人間にも生じています。デジタル後進国となった日本が競争力を回復させるためには、後者の意識変容が不可欠といえます。デジタル化は今後さらに社会全体に浸透し、その潮流に逆行することはできません。すべての業界、企業、個人がデジタルを前提とした新しい世界観に適応していかなければならないのです。
本書では、多くの人がDXの本質を理解し、何らかの行動を起こすためのヒントを多く盛り込むことを心掛けました。プロローグとPart . 1では、なぜDXが必要なのか、DXとは何かについて、あらためて考える材料を提示しました。Part . 2では主要なデジタル技術、Part . 3では具体的な実践施策について解説しましたが、ここでは難解な技術解説を避け、多くの事例を示しました。Part . 4では、重要であるにもかかわらず多くの日本企業にとって難易度の高い組織カルチャーの変革について取り上げました。
DXへの取り組みに終わりはありません。そしてDXそのものに失敗はありません。デジタルジャーニーと呼ばれる長い旅路の過程には、うまくいかない施策もあるでしょうが、そこから学び、やり方や経路を変えて挑戦し続けることが大切です。
本書が、あらゆる業界、企業、個人の行動変容のきっかけとなり、DXを前進させることに役立つことを願っています。


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