![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142540401/rectangle_large_type_2_ae663097704ccdcfc6a3e515db0553fe.jpeg?width=800)
ささらの夜
皆さんの音楽の原初体験は何だろうか。
私は"ささら"だ。
ささらと呼ばれる伝統芸能は日本各地にあり、私の出身部落のは『泉八日ささら』と呼ばれる。
祭りの目的としては、ごくごく一般的な五穀豊穣を祈るモノ。
毎年、お盆の夜になると部落に二軒しか無い商店の片一方、通称・酒屋さんの前のT字路でそのささらが行われていた。
自分が意識するしないに関わらず、最初に触れた音楽というのは間違いなくささらなのだ。
「ブルーハーツがきっかけで音楽が好きになった」とは言うけれども、大元の根っこにあるのはこれ。
そんな当然の事に気付いたのはいつだったろうか。
多分、四年くらい前。
次第に歴史や風土へ興味を持つようになり、色んな本などを読み漁ってるうちに向かう先は自身のルーツへ。
その過程で、自分の中にささらがあると思ったのだ。
日本の伝統音楽は、西洋音楽理論的な捉え方をすればリズムがハネている。
私自身、兎に角ハネや三連と言ったリズムが好きなのだが、どうも物心付く前からささらを聴いていた事に起因するのではと思ったりする。
こじつけかも知れないが。
記憶の無い幼い頃に、ささらを歌って踊ってる映像もあったり。
話が逸れて行ったので戻す。
泉八日ささらの編成の話をしよう。
まず、獅子舞が三匹。
そして笛が複数人と歌い手。
さらに木刀での剣技役、といった感じだ。ざっと。
因みに、父は歌い手兼笛の担当。
だから或る意味では、初めて"ライブ"で聴いた歌声は父だったりする。
そして当たり前のように存在し、半ば近所の友達と夜夜中に遊べるのが嬉しくて行ってたところが大いにあったが、今思うと貴重な体験だなと。
街灯が点在程度しか無い、真っ暗な夜の部落。
幼馴染や妹と一緒に酒屋さんへ向かう夜の何だかちょっと怖くて、そして楽しみな感覚を未だにハッキリ覚えている。
みんな今、どうしてるだろうか。
----------去年の夏に帰省した際に、父が言っていた。「自分達の代でささらも終わり」だと。
言ってみれば私も東京に出て来てる故に、ささらを消滅させる片棒を担いでるワケだ。
私は、私自身の創作を通して"ささら"を残していきたい。
そんな事を考えて『ささらの夜』という曲を作った。新作アルバムに入ってる。
秋田万歳という伝統芸能の古い映像をYouTubeで発見し見てたら、急に色んな記憶が浮かんで来て勢いのまま文章を書き殴った。
お盆の蒸し暑い、真っ暗な夜が忘れられない。真っ暗な、真っ暗な。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?