見出し画像

とかく、モノを喋らない子供だった。

とかく、モノを喋らない子供だった。

いつだか母に言われた事がある。
「誕生日プレゼントに何が欲しいか」や、日常では「何を食べたいか」とか聞いても何も言わないから、兎に角しょっちゅう困っていたと。

思い返すと、中学に入る頃まで喋らない傾向がずっとあった。

なお、中学高校でも陰日向で過ごす典型的な陰キャで、自ら進んで人と話せない人間であった。"今"の私を知る人は、俄に信じ難いかも知れないが。

何故にそうなっていたのか考えるに、どうも最近曲にしているような生い立ちに関連しているとしか思えない。

"人と人が口を開くと何かが起きる"というのを、本能的に察していたのでは無いかと。

人と話すのが怖かった。すごく怖かった。怖くて怖くてしょうがなかった。

その反動なのか何なのか、今は兎角喋りすぎる。

それが果たして自ら望んで喋っているのか、自分でも分からない瞬間が。

何だか余計な事を喋り過ぎた気がする、聞き過ぎた気がする、そんな反省をする夜がままある。

なんで私はマイクに向かってこんなにベラベラ喋っているのだろうと、思うこともしばしば。

不思議だ。人間は変わる。
いや、変わったのだろうか。

たぶん表面的には変わったようでも、心の底の底にいる自分は何も変わって無い。

その証拠に暗い詩が生まれ、こんな暗い文章を止まらない筆で書き殴っている。

独りでいると、そんな底にいる自分が顔を出してきて暗くなる事が多い。

そんな時ほど次々と詩が湧いて来て、今日もまた一つ、明日もまた一つ、はたまた沢山生まれる日も在りで、暗い曲が日々積み重なってゆくのだ。

ああ、何だか今日も憂鬱だ。憂鬱だ。
そして、そして、月の浮かんだ空が青い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?