「無理にでも飲んだ方がいいと思って…」
深夜の独り言
今日来た若い女の子のお客さん。
友達の女の子と二人で来店。
今回の話の主役をAさん。友達をBさんとしよう。
最初飲み物を伺った時に、Bさんはフルペアリング。
Aさんは「私あんまり強くないから…三杯で良いです」とのことで注文を受けた。
「ペース見ながらタイミング見てサービスするかな…」
なんて考えながら、シャンパンをサーブして食事がスタート。
あまり飲めない。と聞いていたのに中々クイクイ飲む。
フルペアリングのBさんと同じペースでシャンパンを飲んで、アミューズでシャンパンが無くなったから、「あれ?意外といけるじゃん…」なんて思って二杯目のワインをサーブ。
このペースで行けるなら、4~5杯で売り上げもとれるかなー?なんて思ってたら、二杯目の白の途中辺りからいきなりガクッとペースダウン。
顔もめちゃくちゃ真っ赤に。
これ、ちょっとやばいパターンかな?なんて懸念するくらい顔が真っ赤。
Bさんはその様子に慣れているのか、サクサク飲み続ける。
Bさんがお化粧室に立った時、あまりにも顔が真っ赤なので、「三杯目のワイン召し上がれそうですか?無理なさらないでください」って言ったら、「大丈夫です、飲みます」ってことで結局サーブ。
ゆっくり飲み続けてたものの、最終的に三杯目のワインは半分くらい残ることに。
食事が終わり、Bさんが再度お化粧室に立ったので少し話をした。
「大丈夫ですか?無理しなくてよかったのに」
「すみません、大丈夫です。いつも顔が赤くなっちゃうんです」
「私もあまり飲めないので気持ちわかります。いつもこれくらい飲むんですか?」
「いえ、いつもほとんど飲まないんです。でも、レストランに来るとなんか無理にでも飲まなきゃいけない気がして…」
「え、何でですか?別に一杯だけでも、ソフトドリンクでもいいじゃないですか。お酒なんて無理して飲むもんじゃないですよ」
「うーん、どうしていいのかわからないんですよね。お店の人に聞くのもなんですし、聞ける人もいないですし…」
「いやいや、まったく気にしなくて大丈夫ですよ。」
「そうなんですか?ありがとうございます。じゃあ、次から少しずつ頼んでみます。初めてこんなこと言われて嬉しいです」
「そうですか?喜んでもらえたならなによりです」
……Aさんが普段どんなレストランに行ってるのかは知らないけど、恐らく今まで飲めないのに無理してきたんだろう。というのが見受けられた。
初めて言われたってことは、それまでのサービスマンはそんな事気にも留めなかったのだろう。
そもそも、お客さんの顔色と飲むペースを考えられないなら、それはサービスですらないと思うんだ。ただの作業だよ。
最初のオーダーなんて、お客さんの状況によってその都度変えてあげるべきだと思う。出来るんだから。
もちろん売り上げが下がったりする可能性もあるから、100%良いこととは言えない。だけど、僕たちサービスマンは何のために仕事してるのか?ってそんなのお客さんの為に決まってるじゃん。
もっとライトにレストランを楽しんでくれる人が増えたら、もっと業界も盛り上がるんだから、そういう人たちを作っていくのも大事な仕事なんじゃないかな。
それがサービスマンだと俺は思うよ。
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