見出し画像

もう一歩、踏み込んでみようか (8)

ご無沙汰をしてます…
この度は、母がお世話になりありがとうございます。心より御礼を申し上げます。
今回の寿からの失礼な絶縁状に悲しみと怒りですぐに連絡することできませんでした。 
本来なら、まず加奈子さんに大変な思いをさせてしまい、申し訳なくありがたい気持ちをお電話ですぐに伝えたいところでしたが、寿の絶縁状で関わりを持ちたくないお二人のお気持ちはわかりました。
お婆ちゃんの気持ちも分かってますので、もう何も言いません。

ただ、ひとりで抱えこまないでください。
いろんな方に相談して負担を軽くしてください。
くれぐれも体に気をつけて、ご自愛専一にお過ごしください。
もう、ブロックされているかもって友達に言われましたが、これが最後の(LINE)にします。

見栄からのメッセージ


加奈子が、見栄(寿の姉)からのメッセージをじっと見つめている。

「寿は血が繋がってるから、辛いね。」とポツリと言った。
そして、携帯を寿に渡した。

寿は、深く考えて(この↑)メッセ―ジを送った。
辛辣な内容であることも理解していた。
ある程度の反撃を覚悟していた。
そして、ある種の期待もしていた。

結果は、「渡りに船」といったところか。。。

相変わらず、自分のことだけしか考えられない人なんだ。と寿は想った。

この時、寿は、悔しさとか、呆れとか、何らかの意味を成す感情を持てないでいた。


加奈子は仕事、家事、そして、義母の転院の準備に忙しい。

「姉さん、ますます太るよ。そんなことしていたら。」
寿の脳裏に浮かぶ主婦としての見栄は、ソファに横たわり、駄菓子を抱えて、テレビを見ながら、友達と電話で話す、いつもの姿であった。

「この人と、血が繋がってるんだよな。」
学生時代から、何度も思ったことである。

「この人は、母が今、どうしているかも気にならないんだ。。。

これまで通り、自分は一人っ子だと思おう。

あはっ、子どもか!」

寿は笑った。

つづく

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?