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示談交渉について

事故から10年目に書いた記事をもとに、改めて書き直した文章です。

示談というと当然お金のことが関わってきますので、こういった内容が報道されることはまずありませんが、いろんな事件事故の背後で被害者の誰もが通らなければならない道で、あまり気持ちの良いものではありません。なので、他の皆さんはどうか分かりませんが、我が家の場合をおくことにします。

我が家の示談交渉は、ある意味、事故当初から目標にしていた「お世話になりました。ありがとうございます」といってJR西日本にお礼が言える終わり方を実現できた理想的なものでした。
いわゆる事故の被害者というものになった瞬間から、示談は、いつかは向き合わなければならない嫌な行程…という認識が最初からありましたが、ある程度この事故のことに十分向き合ったと自分が納得できるまで示談はしないと決めていました。実は示談交渉には本来時効があるのですが、JR西日本はこの事故に関しては時効を執行しないということを決め、公に公表しています。

事故後いくつかのメディアで、JRが被害者に示談を強引に迫っているという報道がされたことがありましたが、我が家では全くそういうことはありませんでした。一度だけ、我が家の担当者が「いずれ最後の交渉をさせて頂かなくてはいけませんので…」というようなことを言ったことがありましたが、「この話は、自分がそうしようと思ったときにこちらから話をするので、それまではこの話をするつもりは全く無い」とお伝えすると、その後、一切言わなくなりました。ただ、その担当者が最初に我が家に来たときに「私が責任を持って、最後まで担当をさせて頂きます」と言われたので、「ホントですね。絶対ですよ。これは男の約束ですからね」と念押しをすると、「はい」と答えていました。被害者によっては、自分が気に入らない担当者を変えたりする人もいるみたいですが、私も実はその担当者とはイマイチ馬が合わないと思いつつも、その「男の約束」があったので、自分から変えてくれと言わないでおこうと思っていました。被害者と加害企業の担当者という立場の違いはあっても、人間の信頼関係は一旦切れるとまた最初からということになります。私には、それは良いこととは思えません。

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