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おかえりモネ 10


ドラマでは、なぜか鮫に関係するエピソードが重ねられます。気仙沼のサメミュージアムで売られているサメのぬいぐるみを登場人物が持っている。テレビの天気予報コーナーで主人公が使うサメのマスコットのパペット。それに今週は名字に鮫の漢字を持つパラアスリートまで登場。どう考えても意識的だと思われます。サメのぬいぐるみを持つ二人が鮫の字を姓に持つアスリートをサポートするわけですから。

これはドラマの舞台の気仙沼がサメを大量に水揚げしている全国的にも有名な地域であることが理由のひとつでしょうし、また東京の舞台である築地もかつて築地市場で多くのサメが売られていたこととも関係するのでしょう。

少し角度を変えてキリスト教とサメの関係について掘り下げてみます。映画の「ソウルサーファー」はサメに襲われて、片足を失ったクリスチャンパラアスリートの実話をもとにした物語でした。サーフィンと車椅子マラソンで競技こそ違いますが、パラアスリートという点では共通しています。

サメによって片足を失った物語は美術の世界でもテーマになっていて、有名なのはコプリー作「ワトソンとサメ」でしょう。これは若いころハバナの海でサメによって片足を失った後、九死に一生を得て、市長になったワトソン氏の実際の体験談を絵にしたもので、孤児院でもあったキリスト教系病院に飾られました。ハンディをもった若者たちを励ます目的で飾られたと言われています。

この絵には宗教的なテーマも重ねられており、サメに見立てた悪魔を追放する天使ミカエルの姿と二重写しにもなっています。

ヨーロッパには使徒言行録28章の故事に基づいた「聖パウロの舌」というアイテムが流行したことがあって船旅に携帯したらしいのですが、実際はサメの歯で出来ていました。興味深いことに聖公会の聖パウロ教会は、現在の渋谷に移転する前は物語の舞台築地にありました。聖パウロとサメつながりですね。教会は現在では渋谷区宇田川町にありますが、ドラマの登場人物に宇田川姓の方がおられるのは、まさか脚本家が意図しているとは思えませんが興味深い。


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