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ウン年ぶりの主著論文 ー経過その3
「うかつに『進化』って単語を使ったら殺すぞ」
例えば、いきものの新しい性質が見つかったときなんかに、軽々しく「進化」って単語を使いたくなるのだが、
本当にそれが進化のたまものであることを示さない限り、「進化」と呼んではいけない。
ある時点でのスナップショットだけを見るのではなく、時系列を明らかにすることで、初めて「進化」という単語を使ってよい。
(タイムマシンがない限り、実際に過去を見ることはできないので、本当の意味で進化を証明することはできない、というのは別の話。)
さて、なんやかんやで、ウェット(実験室であれやこれややるやつ)の追加実験は完了。
さて、ドライ(主にパソコンでカタカタやるやつ)解析を少しやり直して、私と共著者ポスドク的には、「こんなもんでしょう」というところまでできた。
つまり、論文の主旨である、「メタン菌が金属から電子を取り出す新たなメカニズムの解明」は、ウェット、ドライともに現時点で十分なデータが出た。と思う。
…が、ボスがなかなか満足しない。
満足しない理由が、
「まだメカニズム解明が不十分」ということなら良いのだが、上述の通り、この点は十分である。
実際は、「(ボスが半ば気まぐれでつけた論文タイトル中の )”Adaptation”(適応)の証明ができていない」というものなので、
我々としては、どうしたものかなーと。
折に触れて、「こういうデータはない?」「こういう解析やってみて」と指示が飛んではくるのだが、
「それを全部やったら・できたら、新しくもう一つ論文がかけちゃうよ?」というものが多い。
確かに、査読者から「Adaptationってタイトルのわりに、その話をしていないよね?」ってツッコミが入っているのだが、
これは「Adaptationに関して、もっと議論して!」というよりは、「タイトル変えなよ」という意味かもしれないし、実際の論文のメインメッセージ的にもタイトルから ”Adaptation”を除くのが適切だと思うのだけれど、さて、どうしたものか。。。
適切なタイミングで、「”Adaptation”を取り除くの、どうっすか?」と切り出す。
ボスが満足するまで要求をひたすら飲んで、Adaptaion の証拠が出てきたらよし、出てこなかったら「仕方ないよね」でタイトル変更。
さぁ、どっち!
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