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電力需給ひっ迫警報で、わかってしまったこと・・・

3月22日、まん防の解除と入れ替えに発令された「電力需給ひっ迫警報」。朝、NHKの画面が警報モードになっているのを見て、テレビはすぐオフに。Yahooニュースでは午前中に早くも使用率100%超え...ってそんなこと東日本大震災の時にもなかったような...と思いながら仕事場ではとりあえず暖房は消し、仕事を続けられる範囲で照明を暗くしました。ネットでは「300万世帯程度で停電の可能性」という記事とともに首相、経済産業大臣、都知事、県知事などなどが「きわめて厳しい状況、一層の節電の協力を」みたいな発表やお願いの呼びかけを行ったという記事が繰り返し繰り返し出てきます。今頃テレビでは「いよいよひっ迫してます、皆さん少しでも節電してください。節電するには、、、」とテレビの電源を切る以外の方法を繰り返し説明したり、「専門家」を呼んできて電力需給ひっ迫の原因を延々と解説してるんだろうな、、、ヤフコメではきっと、正義感にあふれた人々がどうしてみんな節電に協力しないんだ、政府は何をしてるんだ、とひっきりなしに書き込みをして炎上してるんだろうな、、、そんなことを考えながら、ちょっとした用事のついでに横浜駅界隈を歩いてみることにしました。

このような緊急事態的な状況は、社会がどんな反応をするのかを自分の目で確認する機会でもあります。以前、大型台風が接近した時にほぼ無人状態になった横浜駅の様子を書いたことがあります。(https://note.com/satoshi_ichiro/n/nfdc71aacfcc5

今回は、前日に降ってわいた急な話とはいえ、とりあえず一部の照明を落とす程度だったら、鉄道の運行やお店の営業に大きな支障にならない範囲で手っ取り早く対応することができそうです。そして不特定多数の人の往来がある公共施設や大型商業施設では、その様子が容易に目視確認できるはず。特に横浜駅のように大規模な交通・商業施設が集結したエリアでは部分的な消灯でも、鉄道運行や商業施設の営業は続けながらもかなりの電力削減効果が期待できそうです。

照明が一つおきに消灯されているところがあったり、単に装飾的な照明はまるごと消灯していたり。そんな光景をイメージして夕方4時ごろから2時間ほどかけて、なるべく多くの施設、多くのフロアやエリアを歩き回ってみたのですが、予想に反して、どんなに注意深く探しても消灯しているところはただの1カ所も見つけることができませんでした。照明だけでなく、家電量販店のテレビではいつも通り、全部の大型テレビがまばゆいばかりのデモ映像を流し続けていました。これは意外というか、自分にとっては示唆に富む発見でした。

私は、大規模停電の危機が迫っている状況なのに、駅もデパートも家電量販店も何も対応しないのがけしからん、と言うつもりはありません。今回認識したのは、このような警報について経済産業大臣、自治体の首長をはじめとする政治家が何回会見を開いて「お願い」を繰り返しても、コメンテーターや専門家がマスメディアを通してぎゃんぎゃんがなり立てても、行政が呼び掛けても、大型商業施設や鉄道事業者に対しては「実効性は、全く、ない。ゼロ」、という事実です。今回、節電の効果が期待値の3分の1にも届いていないという報道があり、結果使用率の数値がジリジリと上がっていったこととこのことは、無関係ではないように思います。

お願いメッセージを発信する立場にある人たちは会見を開いてメディアを通して「注意喚起」や「お願い」を繰り返すことで「自分にできることはしっかりやった」という気分になることでしょう。しかしそこに実効性がないのですから、これはとても危険なことです。

良い、悪いということではなく、実際に全く効果がない領域が存在する以上、政府や政治家、マスメディア、危機管理の専門家や学者の方々はそのことを前提に、改めて実効性のある方策を考え、事前に準備し導入しておく必要がある。それが今回分かったことです。そしてもう一つ。どこも一切消灯しなかったということは、裏返せば、あることをしたら一転してみんな例外なく実行する、ということでもあるでしょう。日本社会特有の心理特性を踏まえて方策を検討すると、良い解が見つかりそうな気がします。

#防災いまできること

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