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揺れるベビーベッドの危機を通して子育て支援について考えてみた

電動で揺れて赤ちゃんをあやすことができる機能を持ったベビーベッド「Suima」のクラウドファンディング。センサーがついていて、赤ちゃんの泣き声を検知すると自動的にやさしく揺れて自然に泣くのをやめるというのは、毎晩の夜泣きで寝不足に陥る親にとっては、きっとめちゃくちゃありがたいはず。だからこそ登場して10年以上(?)のロングセラー商品だけど、クラファンに書かれている背景事情を読むと、事業として販売し続けるのは大変らしいです。
確かに赤ちゃん用品って、成長すると必要なくなるものが多いから、ベビーベッドも、ベビーカーなどと同じで、必要な期間を過ぎたらリユースしていくというのは自然なこと。だけど、センサーやモーターを使って「揺動する」ベビーベッドは家電製品的な側面があります。だからリユースするにも丁寧なメンテナンスが必要、、つまり相応にコストがかかってしまう。それが価格に反映されると何かと物入りなパパママはおいそれと手が出せない...なるほど、そのあたりにビジネスとして成立させることの難しさがありそうです。作っているのが大手メーカーではなく、ベビーカーのように内外のいろんなメーカーが作っているわけでもないということからも、収益追求型ビジネスにはなりにくそうだと想像できます。クラファンには率直に「事業継続の危機」と書いてありますが、同類の商品はなかなか無さそうなので何か継続性を高める方法はないものかと考えてみました。

ニーズは?
子育ての経験がない私は育児事情についてはまるで無知なので、ちょっとブログとか記事とかをいくつかググってみたところ、ベビーベッドを必要とする期間は大体2年間、夜泣きに苦しむ親御さんはざっくり4割くらいで夜泣きが続く期間は大体半年くらい、、、だそうです。統計データなど正確なところもどこかにあるのかもしれませんが、とりあえずこんなもんだとして、この揺動ベッド「Suima」の製造販売をサステナブルなものにできないか、考察してみたいと思います。
まず、これまたざっくりなデータですが今の日本、1年間の赤ちゃんの出生数が 大体90万人くらい。日本の人口は1億2600万人くらい(だったよねたぶん)なので大体、人口1万人あたり1年に70人ちょっとの赤ちゃんが生まれていることになります。そのうち4割くらいの家庭が半年間くらい夜泣きで苦しむ、、、ちょっとラフだけどキリよく、1年に人口1万人あたり30家族のニーズだとしましょう。

自治体の子育て支援施策として実施する可能性
そこで積極的な子育て支援を打ち出す自治体が、希望する世帯にSuimaを1年間無償で貸し出す制度を作るケースを考えてみます。
たとえば人口30万人の都市なら、1年で30x30家族=900家族にSuimaを貸し出すことになります。具体的な運用として、貸し出して1年後に引き取ってメンテして次の家族に貸し出す、、ということを繰り返すとしましょう。
1台のベビーベッドの耐用年数を10年と仮定すると、この自治体は単純計算で900÷10=90台のSuimaを毎年新規購入すれば、制度として回し続けることができるということになります。Suimaが1台20万円とすると、必要な購入予算は90x20万円=1800万円。さらにSuimaの配送・回収・メンテナンスに1台あたり3万円かかると仮定すると1年間で3万円×900件=2700万円。
つまり1年間で1800+2700=4500万円でこの制度を回していけるということになります。
問題は人口30万人の自治体にとってこの4500万円が現実的かどうか、ですね。私は自治体の財政や予算編成に関する専門家ではないので、これまた手っ取り早く人口30万人程度の自治体のHPから予算関係の情報を拾ってみると、
・子どもの遊び場等整備 2億6700万円 新規
・個別妊婦・産婦・乳児健康診査 3億6000万円 拡充
・民間児童クラブ補助等 1億5500万円 拡充
・放課後や夏休みの子どもの居場所づくり 1200万円 拡充
などと出てきます。(中部地方のとある自治体。金額の数字は100万円未満は丸めてあります)
金額の大小を単純に比較するものではないですし、そもそもの見積もりもざっくりとしたものなので、これをもってして、だからアリだ、いやナシだと結論付けられるものではありません。ですが個人的には、子育て積極支援を考える自治体が特徴的な施策として揺動ベビーベッドの貸し出しを行うのは、決して非現実的なものではないのではないと感じます。
もちろん現実的には、制度の開始時にイニシャルで数100台調達する必要があるがその予算はどうするのかとか、実際の申し込み率、実際の故障率、耐用年数、資産としての減価償却をどう見積もるか、、、など、制度設計上はいろいろと精査する必要はあるでしょうけど、少なくとも上記のシナリオで検討してみる価値くらいはありそうな気がします。どこか、実際に検討してみようと考える自治体が現れるといいのですが...

企業で取り組む可能性
あるいは、企業で導入するのもアリですね。社員10万人を抱える巨大企業グループだったら、家族も含めると人口30万人の自治体と同じくらいの規模、、になるとしてその企業グループが福利厚生の一環で、というのは十分現実的ではないでしょうか。このベッドのおかげで社員は熟睡できます。「Suima」のおかげで仕事中「睡魔」に襲われずに済み、結果生産性が向上するのです。

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#Suima #ベビーベッド #揺動ベッド #夜泣き #育児 #子育て支援

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