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クラシック音楽 名盤探訪 6

マルティン・シュタットフェルト (ピアノ)    

ヨハン・セバスチャン・バッハ  ゴールドベルク変奏曲

 シュタット・フェルトはドイツの中堅ピアニスト。2002年にライプツィヒの第13回バッハ国際コンクールで史上最年少で優勝し、東西ドイツ統一後の同コンクールで優勝した初めてのドイツ人ピアニストとなった。昔は、エドウィン・フィッシャーや、シュナーベル、バックハウス、ケンプ、ゼルキン、などドイツ音楽を奏でるドイツ人がいたが、エッシェンバッハの後あたりから、目ぼしいドイツ人ピアニストがあまりいなくなった。しかし、今はヘルムヘンや、このシュタットフェルトなど、フレッシュな音楽を奏でるドイツ人が増えてきた。
 シュタットフェルトは芯のある曲を好む。ショパンのノクターンなどはあまり好きじゃないようだ。当然、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、などが主要レパートリーだ。まるで、ナチスの厄を払ったかのような演奏をする。

そんなシュタットフェルトがバッハを弾いている。不眠症を治す音楽だともかつて言われていた。冒頭と最後にアリアがある、第30変奏もある、長大な変奏曲である。だから全曲録音しようとすると、83分ぐらいかかり一枚のCDにぎりぎり収まるぐらいだ。なかには2枚組に分けて録音する人もいる。
 第25変奏では、キリストの受難を、第27変奏では、キリストの復活現を表しているという説もある。バッハの中では、陽気な曲だがそれでもこの曲の楽しさを知るには、長い時間が必要だ。私は3年ほどかかった。
 ここで、シュタットフェルトは右手の箇所をときどき、オクターブ上で弾いており、とても新鮮なアイデアだ。また、シュタットフェルトは音がきれい。硬質だが、なかなか心地よい音を出す。私の私見では、ゴールドベルク変奏曲は、グールド、シフ、シュタットフェルトの3人だと思う。それぐらい完成度が高い。


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