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クラシック音楽 名盤探訪10

ユンディ・リ リスト ピアノ協奏曲第1番  ショパン ピアノ協奏曲第1番  ユンディ・リは1982年、中国出身のピアニストである。同じく中国出身のランランとは同世代である。2000年のショパンコンクールで優勝して、一躍、スターになった実力を持つ。本人は「自分の中に詩心と情熱がある」と述べており、このCDを聞くとなるほどその通りだと思ってしまう。批評家の中では、ユンディ・リは低く評価されているが、私はかなり凄いピアニストだと思っている。技巧もさることなら、とくに音がとてもきれ

    • クラシック音楽 名盤探訪9

       シフ(p)ショルティ(P,指揮) ウィーンフィルハモーニー管弦楽団 ブラームス ピアノ協奏曲第1番 他  アンドラーシュ・シフと言えば、現代クラシック音楽界を代表する、ハンガリー出身の大巨匠である。すごく知性的であり、常に問題意識を持ってひたすらピアノ道を極めている印象がある。レパートリーは主にドイツ音楽の王道。中でもバッハは高い評価を得ている。モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンもほぼ全集を出していてこれらも名盤と評される。ショパンやチャイコフスキー、ラフマニノフ、ド

      • クラシック音楽 名盤探訪8

         ディヌ・リパッティはルーマニアの出身のピアニストである。1950年。このCDは、彼の最後のコンサートを収録したものである。当時まだ33歳であった。夭折のピアニストである。そんなキャッチコピーを聞けば乙女の9割5分はこのCDを買うだろう。事実タワーレコードなどのレコード屋に行けば、たぶん売っていると思う。  予定していた2番のワルツは奏者が力尽き弾けなかった。また、実際に弾いたバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」は録音技師が、デスマスクを写真で写すようなものだと考え、収録しなか

        • クラシック音楽 名盤探訪7

           レイフ オヴェ アンスネス    グリーグ 抒情小曲集  ピアニスト、アンスネスは、グリーグと同じ国、ノルウェー出身である。なんでも、カルメイというノルウェーでも僻地の島で生まれたアンスネス。そんな彼は、やはり、グリーグの作品を得意としている。  ここで、アンスネスはグリーグが実際に弾いていたピアノを弾いている。このスタインウェイピアノは、豊かな中音域で、透明な響きをする。  このピアノがなせる業なのか、アンスネスの腕前か分からないけれど、このピアノからは、確かに、今まで

          クラシック音楽 名盤探訪 6

          マルティン・シュタットフェルト (ピアノ)     ヨハン・セバスチャン・バッハ  ゴールドベルク変奏曲  シュタット・フェルトはドイツの中堅ピアニスト。2002年にライプツィヒの第13回バッハ国際コンクールで史上最年少で優勝し、東西ドイツ統一後の同コンクールで優勝した初めてのドイツ人ピアニストとなった。昔は、エドウィン・フィッシャーや、シュナーベル、バックハウス、ケンプ、ゼルキン、などドイツ音楽を奏でるドイツ人がいたが、エッシェンバッハの後あたりから、目ぼしいドイツ人ピ

          クラシック音楽 名盤探訪 6

          クラシック音楽 名盤探訪5

          レイフ オヴェ アンスネス ショパンピアノソナタ全集  アンスネスはノルウェーの島で生まれた。ノルウェーのコンクールで優勝したが、チャイコフスキーコンクールや、ショパンコンクールなど世界的なコンクールの出身者ではない。録音を機会としてその実力が評価されたピアニストである。この世代にはそういう人が多い。キーシンもそうだった。  私は実はアンスネスのピアノリサイタルを聞いたことがある。銀色の音を放っていた。ちょうど、ショパンのバラードを出した頃だった。テクニック的にはほぼ完璧だ

          クラシック音楽 名盤探訪5

          クラシック音楽 名盤探訪4

          ショパン/ピアノソナタ全集 アンスネス  アンスネスはノルウェーの島で生まれた、北欧出身のピアニストだ。その、鍵盤を自由自在に操る能力は非凡なものがある。2024年現在は、若き巨匠と呼ばれるようになった。  このCDには、ショパンのピアノソナタ第1番 ハ短調と呼ばれる、演奏機会がほとんどないショパンの習作が収められている。何度聞いても、また弾いてもよく分からない。しかし、ショパンの天才性の片鱗と言ったものが、萌芽しているということは、確かである。  続くピアノソナタ 第3番

          クラシック音楽 名盤探訪4

          クラシック音楽 名盤探訪3

          ディヌ リパッティ プレイズ  グリーグ、シューマン ピアノ協奏曲  リパッティはあまり知られてはいない人だが、評価としては20世紀のベスト10に入る大ピアニストである。1917年、ルーマニアのブカレストで生まれた。笑う前にピアノを覚えたという伝説を持つ。パリパリッとした活きの良さとドライな爽快感がすばらしい。ロマンティックな抒情に溺れない強さとスリムさが特徴。また、神の霊性を持つピアニストであり、その音楽性は類まれなるもとなっている。加えて極端な完璧主義だった。ポリーニや

          クラシック音楽 名盤探訪3

          クラシック音楽 名盤探訪2

          リヒテル プレイズ プロコフィエフ ピアノの巨人、スヴャトスラフ・リヒテルのCDです。リヒテルは、1915年に旧ソビエトの現在のウクライナにあるジトミールで生まれました。元来、政治には全く関心がない人でした。もしリヒテルが今生きていたら今の惨状を見て「また、戦争が始まったか。」と言うでしょう。達観していると思います。  そんな彼がプロコフィエフのピアノ協奏曲第5番を弾いています。プロコフィエフのピアノ協奏曲の中でもかなりマイナーな曲で、演奏頻度は決して多くありません。第五

          クラシック音楽 名盤探訪2

          クラシック音楽 名盤探訪2

          リヒテル プレイズ プロコフィエフ  ピアノの巨人、スヴャトスラフ・リヒテルのCDです。リヒテルは、1915年に旧ソビエトの現在のウクライナにあるジトミールで生まれました。元来、政治には全く関心がない人でした。もしリヒテルが今生きていたら今の惨状を見て「また、戦争が始まったか。」と言うでしょう。達観していると思います。  そんな彼がプロコフィエフのピアノ協奏曲第5番を弾いています。プロコフィエフのピアノ協奏曲の中でもかなりマイナーな曲で、演奏頻度は決して多くありません。第

          クラシック音楽 名盤探訪2

          クラシック音楽 名盤探訪

          ランラン ピアノブック デラックス エディション   このCDは、2019年に、グラモフォンからリリースされたものです。ランランは今や世界の大スターとなっています。左手の腱鞘炎をこの頃に発症したらしく、以前と比べると、発売するCDの数も減りましたが、2024年3月現在、サンサーンスのピアノ作品を発売するなど、精力的に演奏活動しています。 ランランは幼き頃、ホロヴィッツがモスクワで弾いた、シューマンの「トロイメライ」にインスピレーションを受けて、ピアニストになることを決めた

          ¥300

          クラシック音楽 名盤探訪

          ¥300